混浴
「そっち行ったぞ聡!」
俺達は今、街の外のフィールドで修行中である。
巨大な蟻モンスターを聡のいるほうへと誘導する。
「オーケー任せろ」
そして溜め技を溜めていた聡はその力を爆発させる。
ドゴォという効果音とともにモンスターがひるむ。
その隙を逃さずに由美の魔法が炸裂する。《ウォーターレーザー》だ。圧縮された水が一直線にモンスターの身体を撃ちぬく。
ドサッと倒れ煙となって消えていく。
ふうっと一息つき地面に座るとほかの二人も続く。
あの襲撃事件から十日ほどたって俺達もけっこう成長していっている。
今俺の剣のスキルレベルは24。そろそろ別の武器を使ってみようか何でいるところだ。
ほかの二人もけっこうレベルも上がっていると思う。
それにこの世界はプレイヤーのレベルはないようだ。だから強くなるにはひたすら戦闘をして慣れるしかない。
夕方まで狩り続けて城に戻る。
汗を大量にかいたので早く風呂に入りたいところだが、女子の時間なのでしばらく待つ。
その間システムを少しいじってみる。
するとスキル覧を見ているとクラス2という覧に一つだけ文字があった。
しかしそれは灰色でまだ習得していないことを示す。
だが名前が出ているということは、もうすぐで出現するのだろ。
───《バレットソード》
やはりこの名前からするに必要なのはあれか・・・・・
大浴場
城の浴場だけあってでかい。
現実世界じゃこんな風呂は一生入ることはできないだろうな。王宮生活が出来ることに感謝しつつ入る。
普通に内側の浴槽も50メートルプール並みにでかい。だがそれに加えて露天風呂まであるのだ。
露天風呂は中の半分ぐらいの大きさだがそれでも十分でかい。
俺はほとんど露天風呂に浸かっている。
まだ、男子の時間になってすぐなのでどうやら俺が一番のりのようだ。
身体を流して露天風呂に向かう。
すぅーと外の空気が冷たいがそれが早くお湯に浸かりたいという欲望を掻き立てる。
ちゃぷっとお湯に浸かり気持ちよくて声に出してしまう。
「やっぱこの温泉は最高だなー」
しかし俺しかいないはずなのになぜか声が返ってきた。
「それは嬉しいですわ」
「っ!?」
っばっとあたりを見回すといつからそこにいたのか、ソフィア王女がなぜかいた。
ばっちり目が合うと、ごきげんよう、といって挨拶をしてくる。
何言ってんだこの状況でと思ったが冷静に考えるとこの世界は混浴が基本だといっていたな。
時間が分かれたのも由美の希望で変わったのだった。
しかし俺達の現実世界では混浴なんて文化はない。いや、どっかの世界はあるかも知れないが現在の日本にはない。
それなのに平然と俺の隣におらっしゃる王女様は恥じらいというものがないのだろうか?
お湯の色が乳白色じゃなかったら丸見えだ。
なるべく胸元を見ないように、というより王女様を見ないように視線をずっと別方向に向ける。
「どうしたのですか?向こうばかりみて?何かあるんですか?」
「え、いや何もないですよー」
あ、あかんあかん。ずっと同じ方向ばかり見ててもだめだ。すぐさま視線を変えていかなくては。
「どうしたのですか?きょろきょろして。何か探してるんですか?」
「え、いや何もないですよー」
なにいってんだ俺は、返事になっていない。
エスケープするか?どうするか迷う。
しかし出口にいこうにも出口側に王女様がいるため俺が立ち上がった瞬間例のあれを見られてしまう。
かといって王女様が出るのをまってもそれを狙っていました風に見て取られてしまう。
いったいどうすればこの状況を打破できるんだ?
そしてこの沈黙を破ったのは王女様だった。
何を思ったのかとんでもないことを口にした。
「最近よく方をこってしまうのでマッサージをお願いしてもよろしいかしら?」
「え、は、はいじゃあ是非!」
時はすでに遅かった。今のを拒否しておけばよかったものを。
だが王女の命令を無視するのは勇者失格だ。と思い込ませ開き直る。
一国の王女に触れるなんて恐れ多いがこんなチャンスはもう来ないかもなのでたっぷり王女の肌を堪能させてもらうことにする。ぐへへ
キャラが崩壊しつつあるなかやはり女の子の身体は柔らかいのだと再確認する。
そういえば由美の身体も・・・・・特に胸が柔らかかったな~
などとあの日を思い返したら、やつが黙っていなかった。
当然俺の前に王女様がいるわけで、例の物も王女様に接触するわけで・・・・・・
それにきづいた王女様は
「こ、こうすけ・・・・どうしたんですか?・・・・・・」
とあせり始める。
やつに触れるのは初めてなのか?と考えていたがさっきまで俺より優位に立っていた王女様に復讐するチャンスだと思いこれを逆手に取る。
「え?特にどうもしませんけど、王女様のほうがどうかしました?」
「え!?い、いえ、なんでもありませんわ・・・・」
そうはいったものの王女様の顔は赤い。
そしてついに降参したか
「あ、ありがとうございます。おかげでだいぶ楽になりましたわ」
といって近くにあったタオルを巻いてそそくさに出て行ってしまった。
今回は俺の勝ちだなと勝利の余韻に浸りながら風呂に浸かる。
夜廊下で王女と出くわした。俺を見てさっきのことを思い出したのか、顔が赤くなる。
そして
「次は負けませんからね!」
と微笑を含めて宣言した。
そして俺もそれにのり
「また、返り討ちにしてやりますよ」
と返す。
何の勝負だよと、内心でツッコミながら期待する。