赤ちゃんだからしょうがないよね。①
「」
「」
「オギャー」
「オギャー」
何かが聞こえる。
「」
「」
「」
明らかに聞いたことのない言語が、赤子の産声と共に耳に流れていく。日々テレビやYoutubeなどの情報媒体にどっぷり浸かり、主要な言語は一通り聞いたことがあるであろう自分でも知らない言語であった。
そもそも、自分は車に餅つきされたはずだ。どんな奇跡的な状況であっても、人の声が聴けるほどの機能を未だに有しているとは思えない。
あまりに重い瞼を開く。
自身の体とは思えない程に、それは初めて行う行為のような歪な感覚に襲われる。
「」
「」
目を開くと、そこには青年が居た。燃えるような紅髪でそんな髪とは真反対ともいえる群青の眼。西洋の人々のような顔立ちで少し筋肉質。衣服は現代社会では異質と捉えられるような中世風の簡素なもの。そして、溢れんばかりの涙を目元に何とか貯め、でも少し零れている。ぼそぼそと理解の出来ない音を発し、身振り手振りで何とか感情を表そうとしているのが見て取れる。
「」
「」
何かを話しているようだが、知らない言語体系から編み出された音は、俺にとっては意味のない音としか認識が出来ない。
ふと、気づいた。
自分は誰かに抱えられている。
重い首を少し上に向けると、そこには目が奪われるような美人が居た。髪は先程の青年とは違い、白髪とも見える綺麗な銀。眼は青年と同じ晴天のような青で、二次元作品で見かけるような整い過ぎている顔立ち。衣服は着心地の良さそうな白服。苦痛と喜びが混ざり合ったような微笑みをこちらに向けている。惚れちゃう。
生物としての本能なのか、自身の願望なのかは分からないが、きっとこの女性が俺の母なのだろう。そして、目の前で必死に涙を堪えきれていない青年が父。程よくライトノベルやら漫画を読み、妄想にふけった経験のある俺は直ぐに理解をした。




