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第3章~第3話 スタンフォード監獄実験③~

 面接の準備を始めようとする先輩に続いて、私も準備室に移動する。

 説明会に参加してくれた生徒は、30名を超えているようなので、何名かの生徒は、面接で振り落とさないといけない。


 面接を始める前に、候補者との接見に同席するよう言い渡された私は、面接官を務めるネコ先輩にたずねた。


「面接の選考基準はあるんですか? 何人かは、私たちの知っている生徒さんもいるみたいですけど……持病があったり、どんな性格か良くわからないヒトを今回の実験に参加させるのは危険じゃないですか?」


「キミの懸念はもっともだ。実際のスタンフォード監獄実験でも、その点は考慮されているようだしね。令の実験では、75人の男性が応募し、スクリーニング評価と面接を経て、24人が2週間の刑務所シミュレーションに参加するために選ばれたそうだ。応募者は、主に白人で中流階級で、精神的に安定しており健康そうに見えることが選考の理由だったようだ。そして、被験者グループは、犯罪歴、精神的障害、または健康上の問題を抱えている人を意図的に除外するように選択されていた、とされているな」


「そうした問題を見抜くことはできるんですか?」


「今回は、面接の前に攻撃性の高い人物を見極める『攻撃性心理テスト』をアンケート形式で行ってもらっている。これは、12個の質問を行い、回答者の特性を損得型・感情型・反発型の3つのパターンに分けて、攻撃性の高い性格を見つけ出すものだ。質問の内容を確認してみるかい?」


 そう言ってネコ先輩は、タブレットPCにアンケート形式の設問を表示させる。


「このテストの各設問をあてはまる=◯・どちらとも言えない=△・あてはまらない=✕として回答してみたまえ」


【攻撃性心理テスト】


 ・自分の立場が良くなるように行動している


 ○ △ ×

 

 ・怒鳴ってる人に怒鳴り返してしまう


 ○ △ ×


 ・不必要に人をしかりつける


 ○ △ ×


 ・相手を自分の思った通りにコントロールしようとする


 ○ △ ×


 ・他人が議論しているとイライラする


 ○ △ ×


 ・嫌いな人間には厳しい


 ○ △ ×


 ・怒る時は、周りの人にアピールするために大げさにしかる


 ○ △ ×

 

 ・怒りで暴力的になる事がある


 ○ △ ×


 ・他人がしかられていると安心する


 ○ △ ×


 ・仕事仲間は仲の良い人よりも有能な人としたい


 ○ △ ×

 

 ・自分が気に入らない時はどんな場合でも怒る


 ○ △ ×

 

 ・相手の意見には必ず反論する


 ○ △ ×


 ネコ先輩の言葉に従って、試しに、12問の設問すべてに、あてはまるの選択肢を選んでみると――――――。


 損得型(得点8):

 この数値が高い方は自分の攻撃性を、損得を考えてから表現します。

 仕事思考で自分自身にとっては良い性格ですが、他人からは誤解をまねく事があるかもしれません。

 冷たい、淡白、人間味がないと見られることがありますので注意しましょう。


 感情型(得点8):

 この数値が高い方は感情で攻撃的になる事が多いタイプです。

 相手や状況によって、攻撃性が変化しますので、気分屋に見られがちです。

 時には、感情的になってしまい、自分を追い詰める事もあります。

 感情的になりそうな時は、一度立ち止まって冷静になりましょう。


 反発型(得点8):

 この数値が高い方は周りの攻撃に対して攻撃性を表すタイプです。

 または、自分より弱い者に対して攻撃性を表現する事で自己表現を行います。

 他人から見ると卑劣に見えることがあるので気をつけましょう。

 攻撃的な感情が沸いた時は、他人から見て理不尽ではないか、一度客観視してみましょう。


 テスト結果解説:

 上記の結果から、 あなたの攻撃性は高いでしょう。

 上に立つ人などには、ある程度の攻撃性が必要であると言われていますが、攻撃性は相手を傷つける事もあります。上手に怒りの感情を表現できているでしょうか?

 感情のコントロールが自分の意思でできていない時は自分に見合わない攻撃性が現れているかも知れません。

 そんな時は一度立ち止まって深呼吸をして下さい。


 という結果が示された。私が、戯れに回答したその結果を一瞥して、ネコ先輩はつぶやく。


「ふむ……これが、ネズコくんの隠された本性か――――――この内容であれば、キミには被験者から外れてもらわなければならないな」


「やめてください! これは、極端な回答をした場合、どうなるか試してみただけです」


「あぁ、もちろんわかっているよ。でも、これで理解できただろう? 今回の実験は、特別に攻撃性の高くない人物が、立場の変化によって、どのように性格が変わるかという観察だ。このテストで、特に攻撃性が高い結果を出した生徒は排除しておくべきだな。ごく普通の性格の人間が、環境によってどんな風に変化していくのか? 心理学の実験は、その観察に醍醐味がある。キミは興味がないかい? 普通の人間が、どんな風に悪魔のような残忍さを獲得するのか、ということに――――――」


 そう返答したネコ先輩の瞳は、またも妖しく光っていた。

 

 そのあとに行われた面接とアンケートの結果確認から、代替メンバーを含む24人の被験者が選定された。正規メンバーの中には、私の親友である佳衣子や、ネコ先輩のクラスメートの桑来さん、九院さんをはじめ、ケンタたち野球部の1年生部員が含まれていた。そして、補充用のメンバーと言って良い代替人員には、日辻先輩の名前があった。

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