表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/100

第88話 インフェルナス様の力


 レオニクスは鋭く叫んだ。


「エリナス、ダリアナ! 新手だ! 陣形を整えろ! 『鉄壁』!」


 彼は俺のことを別の強敵と勘違いし、即座に万全の防御を敷こうとする。


「わかったわ! 『テラ級・プロテクション』!」


 エリナスが強力な防御魔法を展開し、空間に巨大な魔法障壁が広がった。 その様子を見ながら、俺は静かに口を開く。


「レオニクス。悪魔水を使っているのに、ずいぶんと焦っているようだな。前とは違って、余裕がないんじゃないか?」


 俺の言葉に、レオニクスはピクリと反応する。


「……バンダナ!? 生きていたのか……!? どうしてだ!」


 俺はポケットから小さな石を取り出し、軽く掲げた。


「これは、冒険者の基本だろ?」


 転移石――瞬時に安全な場所へ離脱できるアイテムだ。


 レオニクスは悔しそうに舌打ちした。


「くそっ……! 確かにそうだな。俺たちの詰めが甘かった……だが、今度こそ仕留めてやる!」


 彼は剣を振り上げ、大地に叩きつける。


「『轟裂地砕斬』!」


 ゴォォォン!!


 轟音とともに地面が割れ、亀裂から衝撃波が噴き出す。猛烈な力が俺たちを襲いかかる――。


 だが、チェルシーは余裕の表情で詠唱した。


「『テラ級・リフレクション』!」


 光の障壁が瞬時に展開され、衝撃波を受け止める。そして、そのエネルギーはそのままレオニクスへと跳ね返った。


「なにっ!? くそっ!!」


 レオニクスは慌てて『鉄壁』を展開するが、その障壁はあっさりと砕け散る。


 チェルシーが不敵に笑いながら言った。


「まったく、あたいたちがいることを忘れるんじゃないよ」


 その言葉に続けるように、ユリアスが鋭く叫ぶ。


「バンダナさんは、もうあなたたちには負けません! なぜなら、私たちがついているから!」


 彼女の拳甲が蒼く光を放つ。


「『タオ流奥義・刹那龍王拳』!」


 ユリアスの放った一撃が、エリナスのプロテクション障壁を粉砕する。


 魔法障壁が砕け散る音が響き渡り、レオニクスたちの表情に焦りが浮かんだ。


 俺は剣を構え、ゆっくりと前に進みながら言う。


「さて……どうする、レオニクス?」


 彼らの勝ち誇った態度はすでに消え去り、焦燥の色が濃くなっていた。


 レオニクスは俺たちの装備をじっと見つめ、不敵に笑う。


「なるほどな――その装備は英雄カゲロウのものか。そして、ユリアス姫は英雄タミコの装備……通りで強いわけだ」


 俺は静かに言い返す。


「それで、もう諦めるか?」


「ハハハ、冗談はよせ。だが、ここまで追い詰められたのは誤算だったな」


 レオニクスはふたりの仲間を見やる。


「エリナス、ダリアナ、最後の手段だ」


 彼の声が静かに響いた次の瞬間――


「インフェルナス様、万歳!」 「インフェルナス様、万歳!」


 彼らは小瓶を取り出し、迷うことなく悪魔水を飲み干した。


 直後、彼らの体が激しく痙攣し、肌の色はどす黒く変わる。爪が伸び、牙が鋭く生え、眼は不気味な赤い光を帯びた。


 レオニクスは低い声で呟いた。


「我らの望みはインフェルナス様の復活。例えこの身が滅びようとも構わない……貴様らに、その偉大さを思い知らせてやる」


 彼の剣が禍々しい瘴気をまとい、不気味に輝いた。


「『魔轟地獄斬』!」


 悪魔の呪詛をまとった剣が振り下ろされると、大地が裂け、煉獄の炎を帯びた瘴気が噴き出し、周囲を焼き尽くす。


 チェルシーが警戒の声を上げた。


「バンダナ、ユリアス、気をつけな! その炎は普通の火じゃないよ。瘴気を帯びてるから、一度浴びたら徐々に体力と魔素を奪われるよ!」


 俺はすぐに反応する。


「わかった。『聖壁』!」


 聖なる障壁が展開され、瘴気と激しくぶつかり合った。


 ドォォォン!!


 爆風が轟き、俺たちは壁際まで吹き飛ばされる。息が詰まるほどの圧力が全身を襲った。


 レオニクスが嘲笑する。


「見たか、これこそがインフェルナス様の力だ」


 エリナスが続けた。


「そうよ、これがインフェルナス様の力。『テラ級・呪氷崩滅』!」


 冷気が悪魔の呪詛を纏いながら大地を一瞬で凍結させる。 そして、直後に爆発し、鋭利な氷塊が四方へ飛散した――。


もしよろしければブックマークへの登録、応援をよろしくお願いします。

応援は下にある『☆☆☆☆☆』より押すことで可能です。

ブックマークも頂けると本当に嬉しいです。

作者のモチベーションになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ