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第66話 最深階・ボス戦前

 蒼輝の迷宮に到着し、受付へ向かうと、監視員がユリアスの姿を見るなり最敬礼をした。


 どうやらバッタム商会の影響力は、王都付近では絶大なようだ。


 迷宮の入口をくぐり、中へ足を踏み入れる。

 ベルギアがチーム全体のフォーメーションを確認するため、皆に声をかけた。


「よし、聞いてくれ。俺が盾役を務める。アルカナは後方で魔法攻撃と回復を担当。ユリアスは近接戦闘に集中し、ダニエルがその支援を頼む。そしてバンダナは中間位置から剣と魔法を使い、臨機応変に動いてくれ」


 全員が頷き、それぞれの役割を理解したうえで進み始めた。


 しばらく進むと、ベルギアが前方からグレートオーク三体を引き連れて戻ってきた。


「敵発見! いくぞ、鉄壁!」


 彼は盾を構え、大きな声で挑発を放つ。

 その隙に、ダニエルがベルギアの脇を素早く抜け、一体のグレートオークをユリアスのもとへ誘導した。


「ぐおー!」


 巨体のグレートオークが棍棒を振り下ろす。

 しかしユリアスは軽やかにかわし、反撃の体勢に入った。


「いくわよ。戦技・裂傷拳!」


 拳に魔素を集中させ、一撃でグレートオークを後方へ吹き飛ばす。

 その威力に、思わず声を上げた。


「スゲー……」


 俺がつぶやくと、ユリアスは微笑みながら振り向いた。

 その表情を見て、俺も気合いを入れ直す。


「俺の番だな。二刀流・疾風連撃斬!」


 無数の斬撃を浴びせると、グレートオークの巨体が動きを止め、その場に崩れ落ちた。


「やるじゃない、バンダナ。さて、次は私の出番ね。メガファイアボール!」


 アルカナが放った巨大な火球が、最後のグレートオークに命中。

 その全身を焼き尽くした。


 灰と化した巨体が崩れ落ち、静寂が戻る。

 ベルギアが満足そうに頷いた。


「みんないい感じだ。この調子で進もう」


 俺たちは再び隊列を整え、迷宮の奥へと足を進めた。


 迷宮内のセーフティーエリアで適度に休憩を取りながら進んだ俺たちは、ついに最深階のボスエリアに到着した。


 ここまでの道中、ユリアスの戦闘力には驚かされっぱなしだった。

 タオフェングのもとでの修行は伊達ではない。

 鋭い攻撃と正確な動きが合わさり、その戦いぶりは一流の冒険者そのものだった。


 さらに意外だったのはダニエルだ。

 彼の素早い動きは魔獣の急所を正確に捉え、何よりユリアスが自由に動けるように敵の行動をコントロールしていた。


 俺は思わず声をかけた。


「ダニエルさん、ジョブはシーフか何かですか?」


 ダニエルは軽く微笑み、首を横に振った。


「いえ、違いますが、それに近いものではあります。ただ、かなり特殊なジョブなので、詳細は控えさせていただきます」


 その気持ちはわからなくもない。

 俺のジョブもまた、普通には説明できない代物だ。


 そんなことを考えていると、ベルギアが全員を集めて話し始めた。


「みんな、聞いてくれ。いよいよボス戦だ。これまで通りの連携で挑めば、問題なく攻略できるはずだ」


 ベルギアの力強い言葉に頷きつつも、俺は迷っていたことを打ち明けるべきか考え込んでいた。

 しかし、仲間を危険にさらすわけにはいかない。

 覚悟を決めて話すことにした。


「みんな、実はここまで戦いながら、ブルーワイバーンについて思い出したことがある」


 ベルギアが興味を示し、前のめりになる。


「おっ、それはなんだ? 教えてくれ」


 俺はブルーワイバーンの特徴を一つずつ伝えた。


「まず、あいつの攻撃には注意が必要だ。特に尻尾には猛毒の毒針がある。

 そして、戦いが終盤になるとブルーワイバーンは狂暴化する。

 最後の力を振り絞って凄まじい攻撃を仕掛けてくるから、それに備えておくべきだ」


 俺の説明を聞いたベルギアは満足そうに頷き、仲間たちに持ち物や装備の最終確認を指示した。


「バンダナ、よくぞ思い出してくれた。これで準備は万全だ」


 俺たちは装備を整え、互いに目配せで気合いを入れる。

 そしてついに、ボス部屋の扉を押し開けた。


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