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第60話 決戦 ブルーワイバーン


 最階層のボス部屋に続く、大きな観音開きの扉の前に立つと、息を呑むほどの威圧感が襲いかかる。思わず拳を握りしめた。


 他の冒険者たちが扉を開け、次々と中へ入っていくのを見届けながら、俺たちも静かに準備を整える。


 レオニクスが全員の顔を順に見回し、低くもはっきりと作戦を再確認する。


「よし、作戦は覚えているな。ブルーワイバーンの攻撃は俺が引き受ける。レイアード、バンダナ。お前たちは、あいつが降りてきた瞬間を狙って翼を潰せ。飛行を封じれば、戦況は一気に傾く」


 次に、ダリアナへと視線を向ける。


「ダリアナ。お前の氷属性魔法が鍵だ。奴の動きを鈍らせ、体力を削ってくれ」


「任せて。最善を尽くすわ」


 続けて、エリナスに柔らかくも決然とした口調で言う。


「エリナス。支援と回復は任せた。全員の命がかかってる」


 全員が静かに頷いた瞬間、レオニクスの声が引き締まる。


「それから——尻尾攻撃には特に注意しろ。猛毒の針が仕込まれている。もし誰かが危機に陥ったら、俺が合図を出す。そのときは転移石で即座に脱出だ」


 作戦とフォーメーションを改めて確認していると、目の前の扉が突然、青白い光を放ち始めた。


「……時間が短い。先に入った連中は、もう撤退したのかもしれないな」


 レオニクスが光を睨みつけ、低く語気を強める。


「みんな、気を引き締めていくぞ!」


「おおお!」


 全員の声がひとつになり、士気が一気に高まった。


 レオニクスが両手で扉を押し開ける。

 重厚な鉄の扉が軋みながら開き、不気味な音が静寂を切り裂いた。


 俺たちは慎重に足を踏み入れる。


 広大な空間の中央には、淡く青く光る結晶が点在する大地が広がっていた。

 そしてその中心で、蒼く輝く鱗をまとった巨大な竜——ブルーワイバーンが、敵意を剥き出しにしてこちらを睨みつけていた。


 全員が武器を構える。

 ついに、決戦の刻が訪れた。


「いくぞ!」


 レオニクスの力強い号令と共に、俺たちは即座にフォーメーションを展開する。


 ブルーワイバーンは鋭い視線を投げかけ、巨大な口を開いて咆哮を上げた。


「ギャオオオオッ!!」


 耳をつんざくような轟音に、ダリアナとエリナスが思わず身をすくめる。

 だが、レオニクスはひるむことなく盾を構え、正面から立ちはだかった。


「挑発! 鉄壁!」


「バンダナ! エリナスが怯んでる! 支援を頼む!」


「わかった。『メガ・プロテクト』」


 俺の詠唱とともに、防御の光が仲間たちを包み込む。


 その直後、ブルーワイバーンが翼を広げ、空中へ飛び上がろうとする。


「させるか! 『瞬地』、『 黒閃突』」


「俺もいくぞ! 『瞬地』、『ものまね・黒閃突』」


 レイアードが右の翼を、俺が左の翼を的確に打ち抜く。

 連携攻撃が決まり、ブルーワイバーンは後退。翼の動きが鈍った。


「くるぞ!」


 レイアードの声と同時に、ブルーワイバーンが口を開いて竜巻のような息を吐き出す。

 俺たちはすかさず後退し、その猛攻を回避した。


 ここまでは、順調だった。


 だが次の瞬間、ブルーワイバーンが再び咆哮し、巨大な尻尾をしならせて振るう。

 レオニクスがその一撃を受け、壁際まで吹き飛ばされた。


「ぐおおっ!」


 重い衝撃とともに、レオニクスが苦痛の声を上げる。


「『メガ・ヒール』」


 エリナスが素早く詠唱し、温かな光が彼を包み込む。傷が癒えていくが、すぐには立ち上がれない。

 レオニクスは俺に視線を向け、かすれた声で言った。


「バンダナ……頼む……!」


「任せろ!」


 俺は剣を強く握りしめ、前に出る。


「『ものまね・挑発』『 二刀流・大地斬』」


 地を揺るがすような剣撃が響き、ブルーワイバーンの注意を俺に引きつける。

 その動きが一瞬、止まった。


 ——仲間たちは、その隙を逃さず、次々と攻撃の構えを取る。


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