表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/100

第55話 冒険者ギルドでの特別依頼


 翌朝。

 宿の食堂で朝食を済ませた俺たちは、宿の前に立っていた。


「流石に疲れ切っていて、昨日は礼を言えなかった。バンダナ、いろいろと助けてくれて本当にありがとう」


 カナベルが真剣な表情で、深く頭を下げてくる。


「カナベル男爵、お疲れさん」


 俺が笑いながらそう言うと、カナベルは顔をしかめた。


「おい、『カナベル男爵』はやめろ。なんかくすぐったい」


「ははは、それなら次は『カナベル様』って呼ぼうか?」


「やめろ、余計に落ち着かねぇ!」


 冗談混じりのやり取りに、俺たちは声を上げて笑い合った。


 やがて、カナベルがふたたび真面目な顔つきになって、俺に尋ねてくる。


「ところで、俺はこれからグラングリオンに戻るが、バンダナはどうするんだ?」


「正直、何も考えてなかったが……この街に残って、もっといろんなものを見て回りたいと思う」


 俺の言葉に、カナベルは納得したように頷いた。


「そうか。それもいいな。俺はグラングリオンにいるから、もし何かあったら遠慮なく頼ってくれよ」


「ああ、そのつもりだよ」


 俺たちはしっかりと握手を交わした。


 カナベルは馬車に乗り込むと、一度だけ振り返り、軽く手を振って出発していった。


 俺はその背中を見送りながら、これからの自分の道を思い描く。


 この街で何が待っているのか、それはわからない。


 だが、新たな冒険の予感に、胸が高鳴っていた。


 取りあえず、冒険者ギルドに向かうことにする。


 依頼書の掲示板に目をやると、特別依頼の文字が目に入った。


【B級ダンジョン 蒼輝の迷宮 エーテル銀を求む】

 報酬:白銀貨十五枚。


 白銀貨十五枚? 一体どんな依頼なんだ。

 気になったので、受付に聞いてみることにした。


「特別依頼って何だ?」


 受付のカウンターにいた獣人の女性が顔を上げる。


「はい、特別依頼とは魔導省からの依頼になります。受領条件はCランク以上のパーティー、またはBランクの冒険者が対象です。なお、依頼は複数名で受けることも可能です」


「じゃあ、俺も受ける」


 俺の言葉に、獣人の女性は驚いたような顔でこちらを見る。


「受付担当していますリエナです。すみませんが、こちらのギルドをご利用いただくのは初めてですよね? 失礼ですが、どちら様でしょうか?」


「俺はBランクのバンダナだ」


「それでは、ギルドカードを確認させていただけますか?」


 俺がカードを差し出すと、リエナは一瞬だけ目を見開いた。


 どうやら、俺が若いので本当にBランクか疑っていたらしい。


「失礼しました。グラングリオンの冒険者ギルドに登録されているんですね。手続きいたしますので、少々お待ちください」


 リエナが奥へと下がり、手続きを始めた。その間、背後から声が聞こえた。


「へぇ~、若いのにBランクか」


 振り返ると、肩幅の広い男がにやりと笑って立っていた。周囲には数人の仲間がいる。


「俺たちはBランクパーティーの『赤き翼』だ。どうだ、一緒に組んで『蒼輝の迷宮』に挑まないか?」

「悪いな。そういうのは間に合ってる」

「そうか、残念だな。邪魔したな」


 男はあっさりと引き下がり、仲間たちと共にギルドを後にした。


 間もなく、リエナが戻ってきて手続きを終える。


「お待たせしました。特別依頼を受領しましたので、こちらが詳細です」


 リエナから依頼の書類を受け取り、俺はギルドを出た。


 装備を確認し、準備を整えた上で――俺は『蒼輝の迷宮』へと向かうことにした。


もしよろしければブックマークへの登録、応援をよろしくお願いします。

応援は下にある『☆☆☆☆☆』より押すことで可能です。

ブックマークも頂けると本当に嬉しいです。

作者のモチベーションになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ