第47話 超大型の水花火
俺は一息ついて机の上を見ると、水の魔結晶が三つ残っていることに気づいた。
「なぁ、チェルシー。残りの水の魔結晶で、もっと大きな水花火を作ろうぜ。」
俺の言葉に、チェルシーは一瞬驚いたが、やがて笑顔を浮かべた。
「粋なことを言うじゃないか。いいね、その話、のった!」
俺は超大型水花火の構想を彼女に伝える。
チェルシーは俺の案を聞きながら、いくつかの修正案を出し、細かい部分を調整していく。
「これなら完璧だな」
「よし、やるよ!」
彼女の合図とともに、俺たちは作業を開始した。
驚くほど息の合った連携で、作業は順調に進んでいく。
お互いの技術を高め合いながら夢中で手を動かしていると、自然と笑顔がこぼれた。
ふと顔を上げると、チェルシーも同じように笑顔を浮かべている。
息を切らしながら作業を終えると、ついに超大型の水花火が完成した。
その大きさは、普通の水花火の三倍ほど。俺の身長とほぼ同じくらいある。
「やったぜ!」
嬉しさのあまり、俺たちは思わず抱き合ったが、すぐに気恥ずかしくなり、慌てて離れた。
「バ、バンダナ、ありがとな」
「ああ。でも、これ……どうやって部屋から運ぶんだ? 扉の大きさよりでかいぞ」
「そりゃ、大変だぁ!」
二人で慌てふためいた――が、そんなことに気づいたのは、一時間も経ってからだった。
「『空間収納』」
屋敷に戻って仮眠を取るころには、朝日が眩しかった。
昼過ぎに屋敷を出ると、街中はすでにお祭り騒ぎだった。
どうやら、陛下の訪問が領民にも伝わり、盛り上がっているらしい。
次の依頼を受けるために冒険者ギルドへ向かう。
中に入ると、カトリーナが俺を見つけ、手招きしてきた。
「バンダナさん、ちょうど良いところに。こちらへお願いします」
受付に近づくと、カトリーナの表情がどこか困っているようだった。
「バンダナさん、昨日のゴールデンベアーの件ですが、少し問題がありまして……」
「俺が何かまずいことでもしたか?」
「いえ、そういうことではないんですが……」
カトリーナは少し言いにくそうに続けた。
「実は依頼者から『ゴールデンベアーの肝臓は高額すぎて買い取れない』と言われまして」
「それなら、通常のベアーの価格でいいぞ」
「ゴールデンベアーはAランク、通常のベアーはDランクです。それでも値段が釣り合わないのですが……本当に良いんですか?」
「ああ、それでいい。ところで、その依頼人ってベアーの肝臓が必要なんだろう?」
「守秘義務がありますので詳しくはお話しできませんが……妹さんの病気を治すためだとか」
「なんだよ、それなら無料でいいじゃないか」
俺がそう言うと、カトリーナは少しだけ微笑んだ。
「きっと、バンダナさんならそう言うと思いました」
――なんだか、うまく乗せられた気分だが、病気の妹さんが助かるならそれでいいか。
「では、換金が思ったよりも早く済みましたので、お渡ししますね。こちら、白銀貨が五枚と金貨が五十八枚です。」
「そんなに高いのか……。」
「はい。Aランクのゴールデンベアーときらきら草は非常に高額になりますから」
思っていた以上の金額が手元に入った。
これで、生活費に困ることはなさそうだ。
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