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第39話 ものまねの真骨頂

 

「聞いているぞ、C級になったが、実力はB級らしいな。本気でいくぞ」


 カナベルは利き腕である左腕に剣を、右手には盾を構える。


「バンダナ、本気でいくぞ。剣と盾のコンビネーションをお前に拝ませてやる」


 俺も剣を抜き、構えを取る。


「いくぞ!」


 二人の剣が交錯し、鋭い金属音とともに火花が散る。


「『疾風斬』」


 カナベルの一撃は速い。右腕だけで戦っていた時とは比べものにならない俊敏さだ。剣は疾風のように鋭く、盾の防御も鉄壁で隙がない。


「くっ、付け入る隙がない…」


 俺は突破口を探すが、カナベルの動きは止まらない。


「バンダナ、考えている暇はないぞ。『真空斬』」


 剣から放たれた真空の刃が、音を切り裂きながら俺を狙う。俺はギリギリでかわし、息を整えた。


「さすがだな、カナベル」


「いいぞ。だがこれならどうだ! 『真空五連斬』」


 複数の真空の刃が連続して襲いかかる。俺は瞬時に判断し、スキルを発動する。


「やるしかない…『瞬地』」


 一瞬で間合いを詰め、カナベルに肉薄する。


「これで決まった! ものまね…真空五連…!」


 しかし、その瞬間、カナベルが盾を振りかざす。


「『守護の一撃』!」


 盾から放たれた衝撃が俺の体を吹き飛ばす。地面に倒れ込んだが、なんとか耐え抜いた。


「『メガ・ヒール』」


 回復魔法で傷を癒し、息を整える。


「やるじゃないか、カナベル。でも、今度は同じ手は食らわないぜ」


 俺たちの激しい戦いに、いつの間にか近衛兵たちが息を飲んで見守っていた。場には緊張が張り詰め、誰もが目を見張っている。


「さあ、カナベル。次はこちらの番だ!」


 俺は剣を握り直し、強気な言葉を放つ。


「さあ、どうするカナベル! ここからは俺の勝負だ!」


 そうは言ったものの、次の一手が浮かばない。カナベルの剣と盾のコンビネーションには無駄がなく、どんな攻撃も防がれてしまう。


 だが、俺も同じように剣と盾を使えれば…。いや、待てよ。俺には『ものまね』があるじゃないか。


 ひらめきがよぎる。


「やるしかない」


 その言葉にカナベルが剣を一旦降ろし、こちらをじっと見つめる。


「バンダナ、何か考えがあるみたいだな」

「ああ、少し時間をくれ」


 カナベルがうなずくのを確認し、俺は空間収納から天雷の剣を取り出した。


 雷属性を帯びた剣は、稲妻のように輝く。


「むむ、その剣…ただの武器ではないな。属性を帯びているようだが、それだけで俺には勝てないぞ」


 カナベルは冷静に構え直す。しかし、俺は余裕の笑みを浮かべた。


「そうだな。でも、これならどうだ!」


 俺は天雷の剣を右手に、もう一本の剣を左手に持つ。


 カナベルの眉が動いた。


「二刀流…? まさか、お前…!」

「いくぞ、『ものまね』」


 ものまねの力を発動し、カナベルの剣さばきを模倣する。ただし、剣と盾の動きではなく、剣の使い方だけを真似し、それを二刀流に応用した。


「なんだと!?」


 俺の二本の剣が嵐のようにカナベルを襲う。左右からの連撃は容赦がなく、カナベルは完全に防戦一方に追い込まれた。


「くっ…!こんな手があったとは!」


 カナベルの額に汗が滲む。


 俺は瞬地で一気に間合いを詰め、その勢いのまま疾風斬を繰り出す。


「『一閃』」


 閃光のような一撃がカナベルを襲う。カナベルは剣と盾で何とか受け止めるが、衝撃で態勢を崩した。


「隙あり! 『真空連撃刃』」


 連続する真空の刃がカナベルを包み込むように襲いかかる。強烈な一撃の連続に、ついにカナベルは一つの刃を受け、吹き飛ばされた。


 訓練場に静寂が訪れる。


 カナベルは地面に手をつきながら笑う。


「くっ…強くなったな、バンダナ」


 俺は剣を収め、手を差し伸べる。


「俺は、カナベルのおかげでここまで来られたんだ。だから本気でぶつかった。それだけさ」


 カナベルはその手を握り、立ち上がると、仲間のような笑みを見せた。


「さすがだ、バンダナ。お前の成長、俺が一番分かっているさ」


 近衛兵たちから拍手と歓声が沸き起こる中、俺たちは互いの健闘を讃え合った。


これより、第三章になりますが、少し時間を頂きます。


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