表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/100

第21話 近衛兵厩舎の再会と水花火


「さて、近衛兵厩舎に行くか」


 久しぶりに足を運ぶ近衛兵厩舎。

 皆は元気にしているだろうかと、期待と懐かしさが入り混じった気持ちになる。


 厩舎に入ると、近衛兵副隊長のエドガーが出迎えてくれた。


「おお、バンダナか! 久しぶりじゃないか。見違えるように逞しくなったな。チェルシーの訓練、辛かっただろう」


 彼の朗らかな声に思わず笑い返す。


「ああ、辛かったぞ! でも、無事に終えられたよ」

「そうだよな。よく生きていたな……。そうだ、皆も会いたがっていたぞ。今、訓練場にいるから顔を出してくれ」


 二人で雑談しながら訓練場へ向かっていると、突然、爆発音が訓練場に響き渡った。


「ドォーーーン!」

「訓練場の方だ! バンダナ、急げ!」


 エドガーと一緒に急いで訓練場へ駆けつけると、そこには何人もの兵士が血を流し倒れていた。


「エ、エドガーか……急いで、あるだけのメガポーションを持ってきてくれ!」


 負傷者の一人であるカナベルが苦しそうに声を絞り出す。

 その右腕は明らかに骨折しているようだ。


「カナベル、わかった!」


 エドガーが救護室へ向かおうとするが、それを俺は手で制した。


「エドガー、待って。俺に任せろ」

「任せるって、これだけの怪我人をどうする気だ!? ポーションじゃ時間がかかりすぎる!」


 エドガーの言葉を無視し、俺は息を整え、両手を広げて静かに呪文を唱え始めた。


「『メガ・エリアヒール』!」


 辺りに柔らかい癒しの光が広がり、負傷者たちの傷がみるみる回復していく。

 彼らの苦しそうな顔が和らぎ、カナベルの骨折も音を立てて治っていった。


「バ、バンダナ、これは……?」


 驚くエドガーに、俺は答える。


「広範囲回復魔法だ。これなら時間もメガポーションも要らない」


 訓練場の静寂を破るように、回復した兵士たちの感謝の声が次々と上がる。

 エドガーはそんな光景を見ながら、感心したように大きく頷いた。


「バンダナ……お前、ただ者じゃないな。本当に見違えたよ」


 そう言いながら、彼は嬉しそうに俺の肩を叩いた。

 兵士たちがゆっくりと立ち上がると、まだ地面に横になっていたカナベルが突然叫んだ。


「もう一個、水花火がある! あと少しで爆発するぞ! みんな、離れろ!」


 カナベルの近くを見ると、20センチほどの球体が点滅しながら光を放っているのが目に入った。


 水花火の危険性は、以前チェルシーから聞いて知っている。

 水の魔石を核にしたこの装置は、破壊的な爆発を引き起こすが、爆発前に魔石の核を破壊すれば防ぐことができるという。


「やるしかない……! 『魔法剣・サンダー』!」


 剣に雷の魔法を纏わせ、俺はカナベルに向かって叫んだ。


「カナベル! 水花火を上に投げろ!」


 カナベルは横たわったまま、必死の力で水花火を上に放り投げる。

 その瞬間、俺は足を踏み込んで剣を振り抜いた。


「『疾風斬』」


 剣が放つ閃光と共に、水花火は正確に真っ二つに斬られ、核となっていた魔石が力を失う。

 地面に転がる残骸を見て、兵士たちは歓声を上げた。

 背後からカナベルの声が聞こえる。


「凄いな……誰だか知らないが……助かった!」


 振り返りながら、俺は手を差し伸べた。


「久しぶりだな、カナベル」


 カナベルは俺の顔を見て驚き、すぐに笑顔になった。


「バンダナ! やっぱりお前か!」


 俺の手を掴みながら立ち上がると、彼は軽く肩を叩いて言った。


「本当に助かったよ。礼を言いたい。向こうの部屋で一息つこう。エドガー、悪いが後片付けは頼む」


 エドガーは苦笑いしながら頷き、兵士たちに片付けの指示を出し始めた。


 俺たちは訓練場を後にし、カナベルと共に少し静かな場所へ向かった。



もしよろしければブックマークへの登録、応援をよろしくお願いします。

応援は下にある『☆☆☆☆☆』より押すことで可能です。

ブックマークも頂けると本当に嬉しいです。

作者のモチベーションになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ