第18話 天雷の剣
スライムを倒した達成感に浸りながら、ドロップ品の剣と魔晶石を拾い上げる。
「『鉱定』……天雷の剣、雷の魔晶石」
天雷の剣か。どうやら雷属性の剣で、切りつけた相手を麻痺させることがあるようだ。
いい剣を手に入れたぞ。
剣を手にしながら周囲を見回すと、ウォータースライムが現れる。
「もしかしたら、これなら…『魔法剣・サンダー』」
剣に魔素をまとわせるのではなく、魔法のサンダーをまとわせるイメージを描く。
剣は青い火花を散らし、電気を帯びたように静電気を放出し始める。
「よし、いける」
ウォータースライムを剣で切ると、切り傷から雷がほとばしり、スライムを一刀両断する。
「物理耐性があるスライムを一撃とは……」
次々に現れるスライムを『魔法剣・サンダー』で倒していく。
「なんだか、楽しくなってきた」
先ほどの激闘の緊張感を忘れ、『魔法剣・サンダー』を使いこなす楽しさに夢中になりながら、スライムを倒していく。
目標数に達した。そろそろ、あの魔獣が現れるはずだ。
「来た! キング・ウォータースライムだ!」
「『魔法剣・メガサンダー』!」
剣に雷魔法をまとわせ、迫る触手を一閃する。
「前回は切れなかったのに、今回はいけるぞ……『疾風斬』」
スライムに向かって、力強く剣を振り下ろす。
刃がスライムの核を貫き、一刀両断する。
「やった! キング・ウォータースライムを剣で倒した!」
スライムの残骸から、雷と水の魔晶石が転がり落ちた。
それらを拾い上げ、確認する。
「これで全部揃った……長い間ダンジョンに籠っていたけど、ようやく地上に戻れる」
天雷の剣は目立ちすぎるため、空間収納にしまい、普段使いの剣を装備する。
帰る準備は整った。
集落に着いた頃には、すでに夜になっていた。
今日はここで一泊することにしよう。
久しぶりのベッドは、驚くほど心地よかった。
翌朝、外に出ると、まぶしい日差しが目に飛び込んできた。
心地よい朝の風が吹き抜ける。
「さあ、街に帰ろう」
馬車に揺られながら、街の風景が視界に広がる。
懐かしさに、心が少し弾んだ。
「久しぶりだな……まずはチェルシーのところに行って、魔石を渡さないと」
だが、ここで思わぬ問題が浮上する。
「あれ? そういえば、チェルシーの住まいってどこだ?」
これまでの訓練では、いつも冒険者ギルドで待ち合わせて、そのまま解散していた。
彼女の住処を訪ねたことなど、一度もない。
「仕方ない、ギルドに行ってみるか。受付のカトリーナさんなら何か知っているかもしれない」
冒険者ギルドの扉を開けると、そこにはすでにチェルシーが座っていた。
まるで、こちらを待っていたかのようなタイミングだ。
「随分と遅かったじゃないか。明日にでも様子を見に行こうと思っていたところだよ」
「あ……心配かけてすみません」
「無事ならそれでいいさ。さ、向こうの部屋で話を聞かせておくれ」
案内された部屋で腰を下ろし、ダンジョンでの出来事を一通り話す。
「キング・ウォータースライムだって? それに『メガ級魔法』を使ったうえに『魔法剣』まで?」
チェルシーは額に手を当て、大きくため息をついた。
「……お前さん、一体何をしでかしたんだい?」
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