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Dos

周りの声が聞こえる、だが目を開けることもできず、いや多分、覚ましたくないだけだ。

寝込んでいたい、ずっと、何も考えたくもないし、思い出したくない。泣くのも疲れた。目の周りが痛いし、もう泣きなくっても泣けない。早く一人にしてほしい。

誰かがベット周りのカーテンを開けた、いい加減ほっといてくそ先生がー。追い出そうと全力で目を少し開けてみると老人の医師ではなくとんでもない人物がいた。目があった、彼の驚いた顔をみるのは初めてかも、さあ思い出せない、そこまで親しい関係だったわけでもないし、遠い昔のことであるのも理由の一つだ。

しかし、よく見ると若い頃の彼は本当に次元が違うレベルのハンサムだ。泣いているかのような顔をして、薄暗い部屋でもそれが言えるほどの美形。彼の泣いている顔はよく知っている、無表情の顔ほどでもないけど、泣いていたとわかるぐらいではある。なぜと不思議に思う分、観客的には理解できる。今の私には知っている、本当は君は私をちゃんと見ていた、気にかけていた、そして大事に思っていた。愛?いや、どうだろう、それに関してはお互いの愛の表現が違い過ぎているからかもしれないが、君の愛を理解できるほど私も良い人ではない。だからだ「大事に」的な表現はあっていると思う。

まあそれもどうでもいい。そしてまた目を閉じた。君の思い出と向き合うほどの体力も精神力もない。あの夜からどれぐらいたったのかなあ。何も食べてはいないけど、万能な医師たちのおかげでいまだに死なない。別に死にたいと思っているわけでもないけど、普通に考えれば、死んでいるじゃん。これもまたこの世界とあの世界の違いだ。そうでもないか、あの世界では食べないでも生きれる技術はある。お金かかるけど、あっここもそうだ。可哀想な私、自分で死も選べない。じゃなくって、選びたいわけでもないけど、せめて自分の選択肢であると考えたかった。

また夜になった、窓から彼が入ってくる、いい加減ドア使いな。今日はやけにムカつく。

ベット周りのカーテンを開けずに、椅子に座る。

「神よ、お願い、もう君しかいない。」声が小さいが、聞こえてくる。彼を聞いているとどうしても思い出す、死んだ日を。その時も信じもしない神を祈り、わけのわからない約束をして、変な人だ。何だっけ?自分が呪われているとなんだかんだな言い訳を使って、わけのわからない不屈なことを話していた。

彼が帰った後に目を開けた、真っ先に見えるのはあの紋章だ、いや家紋と言った方が正しい。現実を否定したいわけでもない、ただ本当に疲れている、力がない、生命力がない。しかしあの家紋をみて母を思い出す。それの絵を描いて、見せたことはある。2人で色も塗った。幸せな思い出だ。泣く涙もない今では、不思議にほほ笑む。嫌だなあ、恥ずかしい、こんな弱弱しい娘を育ってないね。

あの日は、マリベルとカヌーをしに行った。ホテルから、朝早く出発をして、ホセが集合場所で既に待っていた。彼を見て

「VA a llover o algo para que llegues a tiempo? (時間通りだなんて前でも降るのか)」と軽くジョークを言い、三人で笑う。

「Mi mujer tuvo que salir al trabajo hoy y necesito volver a casa con mis hijos (嫁が急に仕事が入り、息子たちと家に戻らなければならない)」と説明をする。

彼が現地での観光ガイドと同時に親戚でもあるため、厳しい経済状況にいることはわかっている。素早く手続きをし、彼が「Cuidate(気を付けてね)」と帰った。

今思うと、異変の連続だった。彼の時間通り、3人でなく2人での行動、書けないボールペン、つかないモーター、マリベルの二つ縛り、元カレのライン、など。初心者だったから、2人とも初心者コースを選んだが、川でワニに合って避けようと別のコースを取ったら、最近の雨でダムが決壊したことも知らずに滝に近づいて行った.ガイドさんが流れが強いと感じ、近くの岸まで近づこうとしたらカヌーが何かに引っ掛かり、降りて泳ぐ選択しかなかった。ロープを出し、順番にわたっていたが、マリベルより私の方が力があったから先に行くように指示した。残ったのは私だけだった、何だったかはわからない、上から何かが落ちて、カヌーも私も流された。頭は痛かったが、流された時に、何かが足に刺され、意識が遠い自分でもひどく出血していることがわかる。水の中に長くいたせいか、出血のせいなのか、いつの間にか死んだ。はっきりとした理由がわからないが、家族に強く会いたかった思いだけははっきりと覚えている。別にこの家族の意味ではなかったが。。。

部屋に入ったマリーが大きな悲鳴を上げる。

「起きている」「お嬢様が!」

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