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学園へ行きましょう②

 生徒用玄関(昇降口)に足を踏み入れた瞬間、わたくしの頭の中にまたしてもイベントの記憶が流れ込んできた。


 昇降口イベントはレンの側近候補である伯爵家次男ポラリティ・マルマーレン様のもの。


 昇降口に入ったがいいものの係の者がおらず、教室の場所が分からずオロオロしているヒロインに声を掛けるのがポラリティ様。


 薄水色の髪を後ろで一本に結び、紺色の瞳には左にだけモノクル(片眼鏡)を掛けたポラリティ様は知的クールビューティーキャラである。


「おや? お困りかい?」


 そう声を掛けられたヒロインが半泣きの状態で「はい」と答えると、「お手をどうぞ」と左手を差し伸べてヒロインの手を取ったポラリティ様が教室まで送り届けるまでがイベントである。


 ポラリティ様はわたくしやヒロインとは一学年年上キャラでもある。


 しかし実際のポラリティ様は……確かに見た目は知的でクールビューティーキャラに見えるが私的な砕けた場面では口調がオネエである。


 初めてお会いした際に「やっだぁぁぁ! やっぱり可愛いぃぃ!」とわたくしに抱き着いて来た時は何が起きているのか分からない程に混乱したものだ。


 別に本当にオネエという訳ではなく、女系家族に囲まれて育ち、昔からお姉様(かなりお強い、物理的に)に「生意気に男みたいに話してるんじゃないわよ!」と理不尽に叱られ続けた結果、プライベートの口調はオネエ、人前ではクールキャラとなってしまったらしい。


 本人はオネエ口調の方が話しやすい為人前でもその口調で話したいそうなのだが、流石にもうすぐ成人(この世界は十六歳で成人)を迎えようとする伯爵家嫡男がオネエ口調では外聞が悪いとお姉様からも止められたそうで、今のスタイルで定着している。


 因みにポラリティ様には伯爵家次女の婚約者マリアリリィ・ゼオライブ様がいらっしゃり、ポラリティ様のオネエ口調の事もご存知な上、そのオネエ口調を「可愛い」と好んでいらっしゃるので関係も良好である。


「ここでポラリティとのイベント……あのポラリティが見知らぬ新入生をエスコート? ないだろう……」


 ポラリティ様は実は極度の人見知りなお人で、わたくしとレンの事は城で何度も見掛けていたので初めてな気がしなかったとかで大丈夫だったが、本来であれば最低でも一ヶ月は見慣れない限り自分から声を掛けるなんて出来ない人である。


「そうですわね……あの人見知りなポラリティ様がエスコートだなんて……有り得ませんわね」


本当に始まるのか? 乙女ゲーム?



 案内の教師に連れて来てもらったのはわたくし達が学ぶ予定の教室。そこでまた記憶が蘇り、教室での第一イベントを思い出した。


 教室では沢山のイベントが起きるのだが、その最初のイベントはアーレン様の側近というか護衛候補の王国騎士団長の嫡男で騎士爵最年少保持者のカルゴリー・ミシェーラ様である。


 最後に教室に入ってきたヒロインが空いている席に着くのだが、その隣に座っているのがカルゴリー様で、学園説明のプリントを受け取り忘れてきたヒロインにプリントを見せてあげるのだ。


「……それ、本当にカルゴリーか? カルゴリーこそプリントなんて貰わないような男だぞ?」


 そうなのだ、実際のカルゴリー様は戦闘能力こそ凄まじいものがあるがその他はポンコツで物忘れの達人のような方。


 地図が覚えられないので物凄い方向音痴だし、人の話を最後まで聞かないので必要な物も分からないままに行動するし、剣だけは忘れる事はないがその他の物は大抵何処かに置き忘れて、置き忘れた事すら忘れてしまうようなポンコツぶり。


 当然カルゴリー様にも婚約者がいらっしゃるのだが、婚約者である子爵令嬢イリーナ・ハンブルグ様がいらっしゃらなければまともな生活は送れないだろうという駄目っぷり。


 イリーナ様は大変優秀な上に器の大きな穏やかなお人柄で、カルゴリー様の駄目っぷりを笑顔で受け止めフォローする素晴らしいお方なのだ。


 思い出す度に色々と疑問しか湧いてこなくなって来ている恋ラビの世界。


 本当にどうなっているのかしら?

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