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クリスマスイベントですわ Part2

昨日から降り続いた雪は30cm以上の積雪量となり、朝から雪掻きが大変そうですわ。


前世のわたくしは雪掻きをしていた側でしたけれど、今世は貴族のお嬢様に生まれましたので当然やりません。


雪掻きってとっても重労働なのですよね、腰は痛くなりますし、密度のある雪って物凄く重いし。


この世界にもあればいいと思いますわ、除雪車。


道路の雪をガーッとやりながら煙突状の所から待ち散らすタイプのではなく、小型のショベルカーのような小回りの利く除雪車、便利なのですよね。


前世で雪が降ると大型の商業施設の駐車場で動き回る姿を見掛けたものですわ。


そうそう、クリスマスイベントですわ!


ゲームでのクリスマスイベント2日目はアーレン様のイベントからスタートする。


クリスマスプレゼントとして孤児院の子供達にクッキーを焼いて持って行くヒロイン。


孤児院に到着すると一台の馬車を見掛ける。


そこから降りて来たのはアーレン様。


「アーレン様?どうしてこちらへ?」


「視察だ。お前こそどうしてここへ?」


「クリスマスですから、クッキーを作ったのでそれを子供達にあげたくて。クリスマスプレゼントです」


「あぁ、そうか、今日はクリスマスだったな」


「もしかして忘れてました?」


「...あまり意味のないものだからな、私にとっては」


「婚約者さんとは、過ごさないのですか?」


「...くだらない」


「...じゃあ、私と一緒にクッキーを配りませんか?今日は王子ではなくサンタさんになって子供達に笑顔をプレゼントするんです。どうですか?」


「...悪くないな」


2人で子供達にクッキーを配ると、子供達は皆満面の笑みを浮かべていた。


「お兄ちゃんとお姉ちゃんは恋人同士なの?」


「とってもお似合いだもん、きっとそうよ!王子様とお姫様みたい!素敵!」


子供達の言葉にたじろぎつつもそっと視線を交わす2人。


この時の甘い雰囲気のアーレン様の顔がご褒美スチル。


後日「先日のお礼だ」と高級チョコが届く。


これを話した時のレンは表情が抜け落ちたような顔をしていた。


「何故クリスマスに視察なんかするんだ?!流石の俺でもクリスマスは大切な人と過ごすぞ!」


「ゲームではわたくしとの関係性は希薄でしたし、家族ともそれ程良好な関係ではないような描かれ方をされていたのでそのせいではないでしょうか?」


「...ゲームと現実があまりにもかけ離れ過ぎていて腹立たしいな」


「レンは御家族と仲良しですものね」


「...仲良し...まぁ、そうだな。ベルとも仲が良いぞ、絶対に」


「そうですわね、仲良しですわね、わたくし達」


「ああ」


ふんわりと微笑むレンはとっても可愛らしかったですわ。



孤児院からの帰り道、まだクリスマスカラーで賑やかな町並みを眺めながらのんびりと帰路に着いていたヒロインの前にポラリティ様が現れる。


「おや?君は」


「あ!先輩!どうしたんですか?こんな所で」


「君こそこんな所を1人で歩くなんて...危険だろう」


「大丈夫ですよ、慣れてますし」


「そういう問題ではないと思うんだが...」


自然と並んで歩き始める2人。


「雪、結構積もりましたね」


「そうだな」


「キャッ!」


雪に足を取られて転びそうになるヒロイン。


そんなヒロインの腕をポラリティ様が咄嗟に掴んで引き寄せると、向かい合って抱き合うような形になる。


「あ、ありがとうございます」


「す、すまない」


照れまくる2人。そんな2人を再び降り始めた雪が優しく包む。


「あ、この辺で大丈夫です。家も見えてますし」


「そうか...あ、ちょっと待ってて」


足早にその場を去ったポラリティ様は近くの花屋に入って行った。


戻って来た時ポラリティ様の手にはピンクの愛らしい花束が握られていた。


「これを君に...今日会えた記念に」


「わぁ、可愛い!ありがとうございます!」


小さな花束を抱え、花に鼻を寄せて匂いを嗅ぐヒロインと、それを優しい顔をして見つめるポラリティ様。


ご褒美スチルは雪に足を取られて転びそうになった所を助けてもらった時の抱き合いシーンである。


「そもそもポラリティが女言葉ではない時点で色々と違うだろう!」


ご尤もである。


「別人だと言われた方がすんなり納得出来るレベルで違うぞ!」


本当にそれね!


ゲームのキャラ設定とリアルなポラリティ様は本当に違い過ぎていて「あれ?ゲームに出てたのって本当にポラリティ様で合ってたかな?もしかして同姓同名で同じ顔の別なポラリティ様が存在してる?!」と自分の記憶すら疑ってしまいそうになる。


転びそうになったヒロインには「やっだぁ!鈍臭いわねぇ!」と言いそうだし、多分転んだ所でアリシアを助けたりしないだろう。


今のポラリティ様はアリシアを変な女認定していて、「近寄るな危険」位の扱いだし。


「今日会えた記念に...」


なんてキザな台詞は絶対言わないし、言うとすれば「これあげるわよ!ついでよ、ついで!」とか言いそうだ。


まぁこれらのクリスマスイベントはどれ1つとして起こらないだろう。


ガルゴリー様はイブの前の日からイリーナ様の別荘に行くそうだし、ルーカス様は引きこもり。


レンはイブもクリスマス当日もわたくしと過ごすし、ポラリティ様は冬季休暇中は領地に戻るそうなので王都にいない。


アリシアはイベントを起こすべくイブからクリスマスにかけて町の中をうろつき回るのだろうか?


雪が結構積もっていて寒いので風邪を引いてしまうのではないだろうかと少し心配だ。

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