クリスマスイベントですわ
早いもので冬になりました。
冬といえば冬季休暇とイベントですわ!
冬のイベントといえば前世でも大勢の人達がうかれ、街までもが染まっていたクリスマスですわ。
ゲームの世界観なこの国にも当然クリスマスはございまして、この度そのイベントを思い出しましたわ。
何なのでしょうね、この小出しに思い出す脳内システムは。
クリスマスの時期は学園は冬季休暇に入っております。
ゲーム内でもそれは同じで、この時のクリスマスイベントはイブとクリスマス当日に掛けて攻略対象者全員とのイベントが次々に現れるというボーナスイベント的なものでしたわ。
クリスマスイブのお昼過ぎ、一番最初に偶然会う攻略対象者がガルゴリー様。
「あっ!」
「お!奇遇だな!」
クリスマス用のリースの飾りの材料を買い忘れて町に来たヒロインと偶然遭遇するガルゴリー様。
「リースってあれだよな?丸いやつ」
「そうですね、丸いですね、うふふ」
「すまん、俺、あまり物を知らなくてな」
「いえいえ、男性ですから仕方がないかと」
「俺も飾りを一緒に見に行ってもいいか?丁度暇なんだ」
2人でリースの飾りを見て回る事になり、何とも言えない甘酸っぱい距離感で並んで歩く2人。
「あっ!可愛い」
「おっ!いいな!」
入った店で白い天使の飾りを見つけ2人同時にそれに手を伸ばし手がしっかりと重なり合う。
「あっ...」
「わ、悪い...」
パッと手を離す2人だが、頬は赤く染まり、気恥しいような何とも言えない空気が流れる。
「こ、これは、今日会えた記念に、俺から贈らせて欲しい」
白い天使の飾りを購入したガルゴリー様がそう言ってヒロインに白い天使の飾りをプレゼントする。
「ありがとうございます!大事にします!」
優しい目で白い天使の飾りを渡すガルゴリー様の上半身のアップ画像がご褒美スチルとなる。
「毎回思うが本当に誰だ、それは?!」
当然思い出す度にレンに話すので今回も話したのだが、毎度お決まりの台詞のようになった言葉がレンの口から飛び出したのは言うまでもない。
「あの気の利かないガルゴリーが贈り物?!有り得ん!絶対有り得ない!そもそもガルゴリーはクリスマスを覚えているのかすら疑問なのに」
そう、ガルゴリー様はクリスマスというものがある事はご存知だろうが、それが何月何日なのかきちんと把握しているのか甚だ疑問なお人である。
イリーナ様のお誕生日は流石に覚えているようだけれど、自分の誕生日も忘れているような人だし、多分そういうイベント事に心底関心がない人だと思う。
「クリスマス?...肉食う日か?!」と言っているのを聞いた事があるのだ。
婚約が決まってからはイリーナ様と共に過ごしておられるようだけれど、イリーナ様が誘わなければきっと自分では何もしないだろう。
*
イブの夕方に会うのがルーカス様である。
クリスマスケーキの苺を買い忘れている事に気が付いたヒロインが慌てて買いに来た時に偶然会うのがルーカス様。
リースといいケーキといい、何故当日までない事に気付かないのかしら?普通に気付くわよね?!と思うところだけれど、ヒロインのうっかりがなければイベントは起きないので仕方がないのだろう。
「どうしたの?そんなに慌てて?」
「ケーキの苺を買い忘れてしまって」
「それは大変だね!でもこんな時間だよ?あるかな?」
「そうですよね...」
「まぁ、探すしかないよね!一緒に探してあげるよ!」
「ありがとうございます!」
イブの夕方なのでクリスマスで使うような食材はほぼ売り切れており、当然苺も店頭に並んではいない。
何件も店を回り、もう諦めようかと思った時、看板も出ていない小さな野菜売りの店で最後の一籠になった苺を発見する2人。
「その苺、ください!」
ヒロインよりも早くに駆け出したルーカス様が無事に苺を購入しヒロインに差し出す。
「はい」
「あ、ありがとうございます!そうだ、お金」
「いいよ、あげるよ。僕からのクリスマスプレゼント。苺がプレゼントなんて格好が付かないけど」
「そんな!嬉しいです!ありがとうございます!」
手渡された苺を抱えて嬉しそうなヒロインを見てその愛らしさに胸がドキドキと高鳴るルーカス様。
「あ、雪...」
「...本当だ...ホワイトクリスマスだね」
チラチラと舞い始めた雪(それまでは一切降っていない)を2人で見上げるそのシーンがご褒美スチルとなる。
ルーカス様のイベントに関しては起こらない確率が100%なので最早突っ込む事すら無駄な気がする。
「...外を見ろ!クリスマス前だが既に真っ白だ!」
「ですわね」
今年は例年よりも雪の降り始めが早く、冬季休暇に入る前から降り始めた雪で外は真っ白である。
既に50cm程降り積もった雪がクリスマスイブ(3日後)までに綺麗に溶けてなくなるなんて無理だろう。
現に今もモッサモサと粒の大きな雪が大量に降っており、このまま行くと朝までにまた20cmは降り積もるのではなかろうかという勢いだ。
「今年は雪が多いらしいですわね」
「そうだな...だが、こうやってベルと共に雪を眺めるのも悪くない」
降り積もる雪を2人並んで見ているだけですけれど、こういう時間もまた幸せですわね。