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遠足ですわ Part2

ラフィの花畑に到着致しました!


「まぁ!」


「見事だな」


一面に黄色い絨毯を敷き詰めたかのようにラフィが可憐に咲いており、風に乗ってラフィの花の香りまで飛んで来ていますわ。


ラフィの花畑はかなりの広さがあり、花畑を囲むように四阿やテーブルにベンチ等が配されている。


ラフィの花畑を荒らさないように花畑の中には遊歩道のような石畳の小道があり、花を間近で見たい場合はその石畳の上を歩く。


数年前にラフィの花畑を舞台にした恋愛小説が発売され、その小説がとても人気になったおかげでこの花畑に人が押しかけた結果、踏み荒らされたラフィの花は無惨な姿と成り果てた。


幸運の花とも呼ばれるラフィはこの花畑のみに自生している花の為、それが枯れてしまうとラフィ自体が世界から消えてしまう事となる。


その事態を重く見た国はラフィの花畑の管理を行うようになり、ラフィを皆が楽しめるようにと色々とルールを作った。


花を踏み荒らさないように小道以外には踏み込まない事や、許可なく勝手に摘まない事等それ程難しくないルールである。


皆がルールを守ってラフィを守ろうとした結果、ラフィは元のようにこの場所に沢山咲くようになったのだ。


到着し、先生方から注意事項の確認がなされ、各自自由行動となった途端に花畑へと駆けて行ったアリシアは「キャッ!」と叫んだかと思うと持っていたリボンをまるで投げ捨てるようにラフィの花畑へと放り投げた。


「あっ!大切なリボンが!」


芝居がかった感情の籠らない言葉を大きな声で言ったと思ったら、レンやポラリティ様、ガルゴリー様の方をチラッと見た。


「今投げたわよね、あの子」


「投げたな」

「「「投げましたわね」」」


「ん?何を投げたんだ?」


ガルゴリー様だけは別の方を見ていたようでアリシアの行動に気付いておられませんでしたけど、わたくし、レン、ポラリティ様、マリアリリィ様、イリーナ様はその姿をしっかりと見ておりました。


全く動かない攻略対象者達に痺れを切らしたのかアリシアはこちらへとやって来て「大切なリボンがぁ」としなを作り訴えております。


「大切なリボン?!なーに言っちゃってんの?!自分で投げてたじゃないの!大切な物なら普通投げないんじゃないの?!頭おかしいのかしら?」


「?!」


ポラリティ様...オネエ言葉が出ていますわよ!


ポラリティ様のオネエ言葉にアリシアが目を丸くしておりますわ。


ゲーム内ではオネエ言葉なんて使っておられませんでしたものね、ポラリティ様。


「え?オネエ?え?」


「オネエ?何よそれ!」


「え?ポラリティ様ってそっち系だったの?」


「...もしかして私の言葉遣いの事言っちゃってるの?!男らしくないとでも言いたいわけ?!」


「い、いえ、えーっと、その...」


「言葉遣いがこんなでも私はれっきとした男よ、お・と・こ!ねぇ、リリィ?」


「ポラリティ様は立派な殿方ですわ。どのようなお姿でも、どのような言葉遣いでも素敵です」


「ふふふ、リリィ♡あなただけよ、私を分かってくれるのは♡」


「ポラリティ様♡」


「やだぁ、いつもみたいにラルって呼んで♡」


「...ラル様♡ 」


「あーん、もう!リリィってば可愛すぎぃぃ!」


アリシアを目の前にして2人の世界に突入されてしまいましたわね。


ポラリティ様とマリアリリィ様は時折こんな感じで2人だけの世界へと突入なされます。


突入なさるとピンク色のオーラを漂わせながらハートマークを撒き散らしてイチャイチャとなされる為見せられるこちらとしては砂糖を吐きそうになりますわ。


本当に仲がおよろしい事で。


「ポラリティ様がオネエ言葉...」


アリシアはポラリティ様の言葉遣いにショックを受けているようでブツブツと小声で「信じられない...嘘よ...なんで?」等と呟いておられます。


ゲームのポラリティ様は年上という事もあり大人の色気を孕んでおり、少々歯の浮くようなキザな言葉もサラリと言ってしまうキャラだったが、実際のポラリティ様は素で過ごせる場面では基本オネエ言葉。


オネエ言葉の時は仕草も女性っぽくなるので動きがクネクネとしている。


「リボン、拾わなくてよろしいの?」


そんなアリシアにイリーナ様が呆れたようにそう告げると、アリシアはやっと我に返った。


「大切なリボンなのでしょう?」


「え?あ、リボン...」


「ん?リボンがどうした?」


「こちらの方が大切なリボンを花畑に放り投げていらしたの」


「大切なリボンだろ?それを投げたのか?自分で?」


「えぇ。不思議よね」


「変わってるな!」


「な、投げてないわ!風に飛ばされたのよ!」


「へぇ、風、ねぇ」


「風が吹いたのか?!」


「吹いたんです!それで飛ばされたんです、リボン!どうしよう」


イリーナ様のアリシアを見る目が非常に冷たいですわ。


「あの赤いのがリボンなんじゃないのか?」


ゲームでは確か淡いピンク色のリボン(アリシア祖母の刺繍入り)だったのだけれど、アリシアが先程投げたのは真っ赤な幅の広いリボンで、余程目が悪い人でもなければ見えないなんて有り得ない程に花畑の中で目立っている。


「誰のリボンだ?!」


「それ、アリシアさんのリボンです!さっきアリシアさんが投げてるのを見ました!」


先生方が赤いリボンに気付き声を上げ、それに他の生徒が答えている。


「コラァ!アリシア・ザボルガール!物を捨ててはならないと注意事項で言っただろう!」


「す、捨ててません!飛んで行ったんです!」


アリシアが慌てて先生の元へと駆けて行き言い訳をしているが、リボンを投げる姿は思いの他沢山の生徒に目撃されていたようで、アリシアは先生方にこっぴどく叱られていた。


「...阿呆だな」


レンの呟きは喧騒に溶けて行った。

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