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ヒロイン登場ですわ

いよいよゲームがスタートしますわ!


本日は入学式でございます。


わたくしとレンは、レンが迎えに来てくださったので同じ馬車で登校致しました。


イシュタリカ学園の入学式は生徒会主導の物なので親族の参加はなく、生徒のみとなります。


わたくしとレンは少しだけ早く学園へと向かいヒロインが登場するのを正門近くにある用務員用の休憩室をお借りして待っております。


続々と各家々の馬車が到着し、もうすぐ正門が閉じられるであろう時刻になった時、待ちかねたヒロイン・アリシア・ザボルガール様が姿を現しましたわ。


馬車ではなく徒歩で現れたアリシア様にわたくしとレンは少しばかり驚いてしまいましたが、アーレン様との出会いイベントでも彼女は馬車ではなかった為何かしらの強制力が働いたのでしょうかと思っております。


この学園へと通う者は馬車登校が推奨されており、経済的に馬車を用意する事が難しい家庭には学園から送迎用の乗り合い馬車が出される事になっております。


なのに徒歩通学...強制力の香りがしませんこと?


正門へとやって来たアリシア様は正門前で立ち止まると何やらその場で足踏みをなされております。


「あれは、何をしているんだ?」


「さぁ?何でしょう?」


どことなく以前にレンと視察で訪れた村の祭りで踊られていた収穫を願う踊りに似通っている気もしますがそれにしては余りにも地面を踏み締め過ぎな気がします。


「もしかして...ヒールをあの門の溝に嵌めようとしている、とか?」


「まさか!あの溝はピンヒールですら挟まらない程の溝ですわよ!そこにあの靴のヒールをだなんてどんなに頑張っても無理だと分かる事をわざわざする方がいるなんて思えませんわ!」


「いや、でも、ほら」


少し目を離していた隙にアリシア様は靴を片方脱いでいたようで、その脱いだ靴を必死の形相で石畳の道にグリグリと捩じ込んでおられました。


「...挟めようとなさってますわね」


「挟まる訳がないだろうに...」


わたくしもレンもとても残念な子を見る目でアリシア様を見ておりました。


暫く頑張っておられましたが正門が閉じられる時間が来てしまいアリシア様はやって来た先生に注意を受けてバタバタと走って校舎へと向かって行かれました。


何でしょうね、わたくし本日は緊張しているのかこの言葉遣いが抜けませんわ。


気付かれないようにしながらもわたくしとレンも急いで校舎へと向かいましたわ。


昇降口へとやって来たアリシア様は辺りをキョロキョロと見渡しておられます。


「きっとポラリティを探しているんだろう」


「...まさかと言いたい所ですが、先程の様子からしてそうでしょうね」


「なぁ?あの女、間違いなく前世の記憶がある人間だよな?ベルと同じで」


「...考えたくもありませんが、行動から見てそうなのでしょうね」


「自分からイベント起こしに行く気満々だよな?」


「...そのようですね、考えたくもありませんが」


昇降口に到着するのが遅過ぎたせいなのかポラリティ様はおらず、アリシア様は何やら奇声を上げながら「何で?!」と叫んで教室へと向かって行かれましたわ。


勿論わたくしとレンはその後から教室へと入りました。


アリシア様は遅れて来た事を担任となる先生に怒られていましたが、わたくし達は事前に所用で少しだけ遅れる旨を学園側に伝えておりましたのでお咎めはございませんでした。


しかし、お咎めを受けなかったわたくし達が気に入らなかったのか、それとも前世の記憶からわたくしが悪役令嬢である事をご存知だからなのか、アリシア様は「だったらどうしてあの人は叱られないんですか?!権力?!爵位が高いから何をしても良いって事?!」とわたくしを指差し不満を口にしながら恐ろしい形相で睨んできましたの。


「私達は所用で遅れる旨を学園側へと事前に報告済だ」


レンがわたくしを庇うように前に出て下さり、わたくしはその逞しく感じる背中にドキッとしてしまいました、こんな状況ですのに。


「あっ、レン様...」


「何故愛称で呼ぶ?許可した覚えもないし初対面のはずだが?」


「え?...いえ、あの、すみません」


レンの声が一気に低くなりましたわ。


こういう時のレンは人々に恐れられる程に顔付きが冷たくなるのです。


チラリと見たアリシア様もレンを見て青ざめていらっしゃいます。


「行こう」


わたくしの手を取ると予め取っておいた席へと座りましたわ。勿論隣はレンです。


アリシア様はというと「空いている席に座りなさい」と先生に言われ教壇の真ん前の席に着席なさりました。


お隣はこぢんまりとした眼鏡の男子(右)と赤茶色の髪の毛を三つ編みにした眼鏡の女子(左)でしたわ。


あ、わたくし達の席は窓際の席で、位置としましては丁度座席列の真ん中辺りでございます。


教室での出会いイベントを果たすはずのカルゴリー様はイリーナ様と隣同士に座っておられ、廊下側の一番後ろの席に着いておられました。


そしてやはりプリントを受け取らなかったのかイリーナ様にプリントを渡されていましたわね。

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