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【セルフ改稿作業中】悪役にはなるつもりもないので、思い出した時点で「わたくし、悪役令嬢みたいですの」と婚約者に告げてみた  作者: ロゼ


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悪役令嬢でございましたわ

 それは突然の出来事だった。


 婚約者であるアーレン・ヘンドリクセン第一王子との定例の茶会の最中に、襲って来た蜂に慌て、椅子からみっともなくひっくり返ったわたくしは、その弾みに頭を打ち意識を失い、その間に所謂【前世の記憶】というものを思い出した。


 わたくしの前世での身分は平民。


 その国では皆が平民であり、この世界のような身分制度はなく、【天皇】と呼ばれる国の象徴である皇族は存在していたが、それ以外は皆一様に平民であり、財力や地位での差はあれど、富んでいても貧しくとも義務教育という国の制度に守られて学ぶ事が出来、自由恋愛を楽しめ、文明も発達した賑やかな世界だった。


 そこでわたくしは二十八歳まで生きた。


 何故死んだのかは不明だが、記憶の限りでは二十八歳までの記憶を有しており、それ以降の記憶がない為死んだのだと思われる。


 そして、その前世でわたくしが嗜んでいたのが、乙女ゲームと呼ばれる、楕円形のゲーム機という物で行う、物語の世界を映像と音で楽しみながら、自分が選んだ選択肢により意中の殿方と恋愛を楽しむ物。


 その乙女ゲームの一つである【恋の迷宮(ラビリンス)~激甘な恋をあなたと】通称【恋ラビ】の世界に自分が転生してしまったのだと気が付いた。


 だってわたくしの婚約者が紛うことなく恋ラビの攻略対象者の一人であるアーレン様だったのだから。


 恋ラビの攻略対象者の一人であるアーレン様は、ゲーム内では『孤高の王子』と呼ばれる、表情が乏しく取り巻きを寄せ付けない王子であり、その王子には公爵令嬢であり婚約者のイザヴェル・ドミニクスが常に張り付いていた。


 貴族が通う学校にヒロインが入学する所からゲームはスタートし、ヒロインである子爵令嬢アリシア・ザボルガールとの数多の交流を経て二人は惹かれ合うのだが、それを尽く邪魔し、あまつさえヒロインを誘拐したり殺そうとまでする熾烈な悪行の数々を行うイザヴェルこそが、転生したこのわたくし。


 イザヴェルの悪行の数々は、ゲームの最終イベントである卒業パーティーの場で公になり、同時にアーレン様に婚約破棄を申し付けられた上で、悪行の数々により身柄が拘束され、後日処刑されるという、そんなイザヴェルに転生してしまいましたのよ、わたくし。


 確かにわたくし、婚約が結ばれた十歳の折より、殿下の事を心からお慕いしておりますが、そもそも浮気をなさる殿下もどうかと思いません?


 現在十四歳のわたくしと殿下は、十五歳になるとゲームの地となる【イシュタリカ学園】へと入学する予定になっておりますが、今後浮気をして、その事は棚に上げてわたくしを糾弾する殿下と、大人しく婚約を継続させる気なんて更々ございません。


 まぁ、ゲーム内でのわたくしの所業は決して褒められた物ではございませんし、犯罪に手を染めている時点で殿下の婚約者としてもどうかと思いますけれど、それはそれ、これはこれだと思うのです。


 それに、そうなるのだと分かっている今のわたくしならば、好き好んで断罪されるような悪行等絶対に致しませんし、もしも強制力なるものが存在する場合に備えて、身の潔白を証明する手段を用意して臨みますわ。


 そうと決まれば善は急げと申しますから、この婚約を解消していただけるように殿下にお伝えしませんと。

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