行くこと
「探偵を胡散臭い職業なんていうべきじゃないのよ。見かけはそりゃ思われるかもしれないけど、いくらこぎれいにしていたとしても悪事を働くのよ。だから案外見かけで判断をしたがる人ほどろくでもないの。」
真由美はワインをグラスに注いだ。真新しいワインだったがあっけなく終わってしまいそうな感じがした。それでも注いでくしかなかったのだ。
「私はね。苦労しているなんて口先で言うことはしたくないのよ。春香にだってそんなことを教えたつもりもないもの。」
「そうですよね。真由美さんはくだらないことを言うことはないですよね。」
権力を持った人間が人を下に見下したような恰好をしたところで何かが解決するのだろうか。それまた、全くもってないのだろうかとなってくる。スーツを着たところでそれっぽくなっただけで詐欺師かもしれないし、それか本当に弁護士かどうかなんて見た目ではっきりとわかるのだろうか。節穴のような目で見つめたところでわからないことばかりになってしまうしかないのか。
「俺は別にそんなを思ったことはないんですよ。ただ親からは胡散臭いことをしているからとか言われましたよ。人を救っているのにそれのやり方の違いだけでいろいろ言われるんですから。」
「私はそんなことないわよ。春香にはやりたいことをやってほしいの。・・・けど、ちっぽけなスナックを継いでくれるといわれたのはうれしいのは事実よ。」
彼女なりの悩みなのだろう。好きなことをすればいいとしているのに全くもってそんなことないのだろうから。いうだけでは消えぬものがあるのも事実だ。それを打ち消すほどの力もそれをまとめるほどのものもないのだ。ただ平凡になっているだけに過ぎないのだ。
「春香っていったところで村上さんにはわからないでしょ。春香は私の娘なの。社会人になって間がないんだけど、それでも継ぐっていっているの。社会勉強をしているに過ぎないの。」
「それもけなげだと思いますよ。」
「他人にとってはね。親としては考えるの。水商売だからといって嫌がることもあるはずなの。それすらなかったのは生活の上で必要なことだと知っていたとしか思えないの。早めに大人にさせてしまったことに後悔しているの。」
子供だと思っていたらいつの間にか大人になっていた。それが幼いころに起きてしまったが故に判断が鈍くなってしまったのではと思ったのだろう。春香には到底聞くことが出来ぬままになってしまっているのだという。




