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架空の正義

龍哉もまた大手の弁護士事務所にいたが、利益を重視しろといわれるばかりで顧問弁護士をしていくら企業側が悪かったとしてもそれを認めずに戦わないといけない。最初の頃と違った感覚に陥った。

「大手にいたときは名前の知れた弁護士とかいてそれを勉強する気持ちでいたんです。でも・・・。」

そこで見たのはあからさまな相談を断っていたことだった。依頼を断って勝ちそうな案件など選んだうえで偉そうにいっていたことだった。マスコミにはさも選ばずに来た案件だけをしていますと堂々と嘘をついているのを見てうんざりしてしまった。だから、大手の弁護士事務所に誘われたらいっていては落ち込んでしまっていた。ならばと思って自分で事務所を開くほうがいいのではと思ってしまった。

「顧問弁護士になったら金にはいいんでしょうけど、普通の人の声を聴かないでそれで完璧ですとは言えないんですよ。だから俺の基準で選んだうえで負けようが勝とうが構わないと思ったんです。」

「だから、この環境が良かったわけなんですね。いくら白浪さんの名前が挙がったとしても探そうにもわからない感じがして・・・。」

「まぁ、他の弁護士事務所にとっては挙がったりでしょうけどね。俺が目指したのは弱い人を助けることであって、立場が強い人を助けたら結局は何処かで力で押さえつけられるだけだって目に見えてしまうんです。」

宗はその姿を見てじっと外を向いた。何処かかすかな叫びが何処かで上がっている今、どれだけの人が救いの手を差し伸ばしているのだろうか。きっとわずかな人しかできないのだろう。立場をわきまえている人など少ないのだろうからとなる。龍哉はそれを見たうえで決めた判断なのだと思った。

「白浪さんは笹田と同級生なんですよね。」

「えぇ、高校の時ですけど・・・。何気ない出会いに過ぎないんですよ。」

「大学は別の大学にいったのに、笹田が誤認逮捕されたときにはいましたよね。」

村上にとって不思議だったのは宗が誤認逮捕されたと知らされたときにいたのは明光と白浪の姿だった。彼はまだ大学生で私服でいてわからなかったがそれでも今見てもわかったのだ。

「はい。いました。別の大学にいても交流がありましたから。・・・大学の友達よりも居心地がよかったんです。相談にも乗ってもらっていたんです。あの時は信じられなかったんです。だから何度も警察に足を運びました。」

白浪が見た現実は違うといっても刑事は考えを変えようとしなかったのだ。むしろ、決まりだとかいっていたのだ。うんざりしてしまった。

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