線の切れた点
藤川医院とかいうのはいわくつきの開業医として地域から毛嫌いされた過去があったのだ。それに対して藤川正治の父親はその場所を牛耳るために薬剤会社に手を借りたのだ。そのこともあってか、時間が経つにつれて藤原医院に対して悪く言うものはいなくなった。
「藤原には大学病院でやらかした過去に封じ込めをしたかったんだと思うんだ。だからこそ、息子を医者にしたかったんだ。」
「その息子が製薬会社に就職したものの薬で事件を起こす引き金になったと知られてしまったら困るだろ。だから、代役を立てる必要があったわけだ。」
藤川医院は難を逃れるために行った行為で息子を失うということになってしまったとしても何も思わないだろう。父親も医者として致命的な事故を起こしたにも関わらず逃げるように大学病院から逃げてきたのだろう。そのこともあって頼る場所は限られてしまうのだ。医者としても救えない過去をもっていることになる。
「藤川の父親の名前はなんていうんだ?」
村上は知らぬふりをして通そうとしているのが見えたので、笹田は近くにあったコーヒーカップを遠ざけた。
「言わないと、所長がいることをばらすぞ。」
「なんだ。わかっていたのかよ。」
「お前にしては似合わない店だからな。いくらコーヒーがうまい店を見つけたといって連れていかれたとしても主にチェーン店だ。お前の行動範囲に多いのはチェーン店の店だろ。個人店を見つけるのはたやすいがそれでもお前の得意分野じゃない。」
笹田がまるで論破をさせるように言った。村上は降参するかのように手を挙げた。その様子を見た1人の女性がこちらへと近づいてきた。
「やっぱり貴方にはかなわないわね。笹田君。」
「所長こそ、こんなやり方をするなんてどうなんですかね?」
村上の隣に所長は座った。彼女は悪気の態度をするのは控えた。それなりになってしまうのは恐れてしまったのだ。
「同業者でしょ。わかってくれるかと思ったんだけど・・・。」
「知りたいのは増岡についてですか?」
「わかってるじゃない。私は貴方が誤認逮捕された事件をずっと追っていたの。そこで黒幕が増岡っていう名前が挙がったから驚いたわよ。・・・村上君が増岡の情報を嗅ごうとしたけれど、ばれてしまった。だから、貴方を頼るような形になってしまったの。」
彼女にとって彼が誤認逮捕されてしまったことで守り切れなかった後悔にさいなまれてしまったのだ。そこでもう1度戻ってもらうべく改めて調べ始めたのだという。




