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待つときを描く

逮捕されてなお、探偵事務所が悪いといい続けていたのだという。裁判でも同情の余地はないといわれて刑は軽くならなかったらしい。

「その人も世間から追放されたも同然だよ。更生しているとは会っていないから言えないけどな。」

宗はそういって分厚いファイルを取り出した。探偵を行ったものに関してファイリングをしていたのだ。経験として残っている部分があるからだ。かなり初期だったこともあってすぐにわかったのだ。

「確か名前は久保田陽介だったかな。会社の中じゃなかなかのところにいたはずだったのにさ。自分から捨てたんだよ。不倫をしたうえにその証拠を消すとかするはずがないじゃないか。依頼者がましてや奥さんなんだから。相手側の利益になるようなことをする探偵と弁護士なんてなかなかいないよ。」

久保田は刑務所に入った時ですらごねるように言っていたというのだ。それでも刑務所でしっかり働いたから模範囚になっているという噂が上がっているのだ。いくら模範囚になっても反省をしていないのなら元も子もないのだ。

「全てを失っても気づていない奴かもしれないな。そんな人がいたもんだ。」

「そんな奴ほど何処かで報いが来たと思って受け入れるべきなんだよ。それができずに暴れていると悪循環を起こしてしまうだけだよ。」

「そうなんですね。俺もそんな人に会っていても気づいていないだけであっているかもしれないですね。」

奏斗は感心するように言った。奏斗も一筋縄でいかないことに知らないわけではないのだ。プログラミングでちやほやされてしまった上に悪用された現実があるのだ。そのことに抗うことにないだろうからと思ってしまったのだ。

「俺も思えば前川さんに会ったのはそんなときでしたよ。前川さんはもともとプログラミングの知識なしに入ってきて上司にバカにされていたとかいっていました。経歴ではプログラミングの会社で働いていたということになっているのに全くしたことがないといっていました。」

「前川は経歴を偽造していたってことになるな。・・・でも、そこまでして潜入をする必要があるのか。誰かに頼むことができないようなことだったとしたら・・・。」

前川総一郎はプログラミングをしていていたことがないから余計に会社に邪魔者扱いをされていたことはわかるだろう。それでもいなければならなかったとするならば監視としての役目でしかなかったのだ。

「いた会社ではいずれクビにするだけのことだとかって言われてましたよ。」

クビになるのを待っているようにしか彼には見えなかったのだ。

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