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変えられぬ思い

何時もの彼の恰好は安い服を掛け合わせたようなものだった。探偵というのは服装だけで判断できないものだといっていたからだ。スーツを着るのはまれで龍哉が驚くほどだった。

「それで増岡勉に会うのに見合った服で行くべきだろう。」

「そんなもの必要ないさ。何処かしらの詐欺まがいのセールスマンみたいに見られるほうが厄介だ。だったら、何時もの恰好をして会ってもいいじゃないか。」

「宗さんらしい恰好をしていけばいいじゃないですか。そのほうが聴けることも多いじゃないですか。」

奏斗の後押しもあって宗は笑みを浮かべてうなずいているようだった。納得してもらえたことが良かったのかもしれない。彼の心の中には北見がいっていたこともあるのかもしれない。誰にも相手にされずに黙っていたのだろうが、聞いてもらった上にキチンと調べてもらえている現実には抗えなかった。

「依頼者のためなんていうのは簡単なのかな?」

「そうでもないさ。簡単にはすまないんだよ。調べても大した情報が出ないことだってある。ちっぽけな事務所だからな。依頼者が時間がかかりすぎているとかいってさ。怒って帰った時もあったな。」

過去にはそういうことがあったのだ。その時はまだ、本当に2人でしか活動をしていなかったのだ。それで探偵としても頼ってはもらえなかったのだ。少しだけでも人を頼ってやることで解決することが多くなった。

「自分の都合ばかりを押し付けて現実を見ない人もいたな。」

「あぁ、あの人な。不倫はするわ、会社の金は使うわでいいことなんてないのに、奥さんからの依頼で調べて事実が判明して俺が裁判をすることになって奥さんの側につくことが分かってさ。慌てふためいて裁判をしないでくれとか。写真のデータを消すように言われたんだよ。」

その言葉には2人は応じないことを怒った男はデータとかを持ち出そうとしたのを真由美に見られてしまった。そのこともあって警察に捕まったのだが、そこでいったのは奥さんが不倫を調べてもらった上に裁判を起こそうとしていたこと。探偵と弁護士が自分の言葉に答えなかったことに対する怒りだった。

「同情の余地もないですね。」

「それで調べていくうちに会社の金を横領していることもわかって刑が増えていってしまった感じかな。あそこで下手に動いていなきゃ知られてなかったんだ。けど、いずれはわかったことだと思うよ。」

その男の不倫相手も質が悪く会社の社長のお嬢様だったらしい。最後には会社からも追放されてしまったのだ。

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