笑みと歌詞
「刑事にいたときはまだ後輩だの部下だの言って頼ってくれたが、裏社会に住んでいるとなるとあっけらかんとしていけないだろう。そりゃバレなきゃいいところにいるんだけどな。」
「情報屋としてはどういう立場なんですか?」
「長いことやっているし、よくしてくれる輩も多いから下手な情報屋よりもいいといってくれる。やくざが介入していないことも知れ渡っているからだ。」
中堅といった感じにしか見られていないのだという。それでも情報屋の中で随一というほどの情報量を抱えていながらそれをひた隠しにできるのはきっと刑事という仕事をしていたこともあるのだろうか。轟は外を見た。
「空は広いというけどな。広いものなんてたとえたところで仕方ないんだよ。嘘をいっているわけではないんだよ。情報っていうのもそれに似たものでね。掘り起こせばずっと穴を掘っていけるようなものになっている。それが楽しいんだよ。」
「なってよかったんですか?」
「よかったさ。刑事をやっていた時みたいなはびこるようなものを持ち合わせているわけじゃない。1人に背負っているものをただいっているだけだ。安い値段で買いたたけないようにして売るんだ。そしたら、価値がついていけるんだ。」
彼にとって入った世界は驚きに満ち溢れてしまったとしても親しくしていた人間が教えたことも価値になる。轟をよくしていた情報屋の人は全くいって程顔を出すこともなくなってきている。情報屋を消すことをモットーとしているところもいるほどなのだという。
「剣持隼人を捕まえる力を警視庁に持ち合わせていないんですか?」
「剣持はその刑事を殺した理由は事件解決を恐れたからだとも言われている。・・・その事件が分かれば簡単なんだよ。剣持は裏社会に浸透している名前になっているからな。ヒーローになりたがったのに道を踏み間違えた奴なんだってさ。やくざやらに手を貸していることもあってこっち側からどうにでもなるさ。」
奏斗はパソコンで剣持隼人と検索をかけてみた。そこには新聞記事は隠されているが、明らかに警視庁が隠蔽したことが知れ渡っていた。隠しておきたい何かがあったのだろうか。その事件がばれてしまうことで警察としての行いが変わったのだろうか。
「剣持隼人の件は別件として払わせてほしい。」
「俺はそれでもかまわないし、つながったら値段を下げて請求するよ。・・・まぁ、売っている値段は裏社会でうごめいている連中よりかは各段に安いんだよ。」
轟はそういって大声で笑った。




