影なき窓
過ぎ去った時を追うのはいったい何時からやめるのだろうか。まだ若いにも関わらず何処か社会から切り離されている彼らにいう言葉に対して悩んでしまうしかなかった。轟がまだ同じくらいの年では青臭い理想を言っていただろう。それでも認める人とそうではない人がいるのだろうから。
「奏斗君は此処にいるのはどうなのかな?」
「そりゃ楽しいですよ。宗さんは俺のことを尊重してしたいことをさせてくれるし、龍哉さんも同じように別の観点からいってくるのでいやすいんです。心地よい場所なんですよ。」
奏斗が困った時には2人はそっと見守ってくれているのだ。それに何事もなかったかのようにやり過ごすということを選ばなくてもいいのだ。派閥だとかいってどちらかにつかないといけないということもないのだ。彼らには特有の友情があるからか、あまり干渉もしてこない。パソコンに向かっているだけの日もあっていいと思っているのだろう。
「宗はそれでいいのか。」
「いいよ。くだらないといわれようが、奏斗の意思を感じ取ってやらないと此処は成り立たないんだよ。俺は探偵しかやって来たことがない。だからこそ、補えるものがあってこその光が起きるんだよ。」
彼の考えがまた龍哉につながっていることもあってか、近くで龍哉もうなずいていた。うなずいているときの表情が笑顔になっていた。轟にとって警察という場所は最後まで骨を沈める場所としか思っていなかったが、ある事件のこともあって警察にいても仕方ないと思ってしまったのだ。
「俺は最初は違ったんだよな。警察にずっといると思ったら今じゃばれたら追われる立場だよ。だけど、追われることはないと知っているこそできることがあるんだよ。」
「それが情報屋っていうことですか?」
情報屋になったことに轟は後悔はなかった。情報屋になったことで得られたものがあるのだ。政治家がこぞって裏社会の人間にかかわっているということだ。そこで得た情報で選挙で勝つということにつながるのだという。
「情報屋っていうのは戸籍を扱ったりするからいいんだよ。もらっている人間には金を得ているんだよ。つながりがあったりするんだよ。」
売りたい人も多いらしくそこで売買できることのできる場所へと連れて行ったりするのだ。元刑事だけあって警戒心が強かった時もあったが、今はなくなりかけているのが事実だ。それでも遠巻きでも人を救えているという事実が彼にとってはうれしいのだ。かすかに窓から漏れる光が影を生んだ。




