依頼場
「それで貴方が以前勤めていた会社の名前を教えてもらえますか?」
「サンズです。ドラックストアですよ。そこで働いていたんです。」
サンズという会社は親会社が確か有名だったはずなのだが、それすらの経緯が分かっているのだろう。彼はサンズで登録販売者という立場であって社員になる。上司と掛け合いは悪かったのだという。パワハラと思わしき行為は常にあったのだという。
「みんな、怯え切っていました。それでもと思っていました。その人は他人の評価は悪くても自己評価だけは高くて困りますよ。人に指示をするだけで自分は全くといってしないんですから。」
そこから逃げるためにはと奮闘することもあったのだが、今は別の会社に入ったこともあって少しでも心が晴れたような気がしていた。だが、今も心をむしばんでいるような気がしてならなかったのだ。
「その上司だった人の名前は何ですか?」
「山田剛三です。まぁ、周りからの評価が悪いことすらわかっていなくて、自分の誤った考えというのを押し付けようとしているんです。時代も変わっていて来ているのに、止まったままでお粗末な人ですよ。」
北見はそういったのだ。彼の依頼は元上司に当たる山田の状況が知りたいのだという。その上でサンズという会社の実態も知りたいと思っているのだろう。
「わかりました。受けましょう。まずは、探偵として受けさせてもらいます。奏斗、サンズについて少し調べてもらえないかな。」
「わかりました。」
回転いすを回転させてパソコンに向かった。彼は時間がかからないうちに振り向いたのだ。
「いい噂を聞かない会社だね。今、裁判が起きているよ。残業代の未払いの関するものだよ。」
「そうです。今、他のやめた人が残業代の未払いについて裁判を起こしています。」
「弁護士も優秀と来ているから、勝てると思いますよ。ねぇ、龍哉。」
奏斗が向けた名前のほうへと彼は顔を向けた。サンズの裁判を受けている人が身近にいたことになるのだ。サンズについての下調べができていることになるのだ。
「白浪龍哉といいます。サンズについては調べているし、探偵でかかった費用もそう考えなくていいですから。定期的に報告しようと思いますから。そちらの紙に書いておいてください。」
「わかりました。」
情報を書いてもらわないと定期報告が行うことができないのだ。それは宗が決めたことでもあったのだ。依頼者の人が話したこと以上のことが浮かんだらそれも伝えるのだという。