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暗き明かり

 龍哉にとって何らいい事務所に所属できたとしても利益ばかりを見てしまって相談をしに来ている人を裏切る行為を行うのは嫌で仕方なかったのだ。それを幾度となく悪気なく行ってしまっていたことを知らしてくれたのが、宗だった。宗は探偵としているにも関わらず何処か見えない敵と戦っている感じがあったのだ。宗は探偵と正式に国から認められていることもそのことになるのだろうから。

「弁護士なんて今やピンキリの世界になってしまったから余計に案件を関係なしに金で考える事務所が増えたんだよ。それを考えないのはちっぽけな個人事務所くらいだよ。少なくなってしまっているよ。」

誇りを手にしているにも関わらず何処かで汚す行為を行うのにはつながらないのだ。だが、サンズの裁判をうけおった事務所がいるのも事実だ。

「サンズの弁護士は確か顧問弁護士じゃなかったはずだよ。・・・残業代未払いの話が上がった時点で逃げ出したっていう話だ。だから、探し回っていて見つけたんじゃないのか。」

「大きな会社なのに顧問弁護士が逃げたのか。」

「聞くところによると金だけとって逃げたっていう話だよ。その人すら見つかっていなくてサンズは泣き寝入りをするつもりだよ。」

信頼をしていたのはあくまでもサンズだけだったとしか言えないのだ。会社の状況もわからないのかもしれないのだ。

「どんな企業も厄介なことに巻き込まれるんですね。」

奏斗はすっといった。ボソッと言いそうだと思ったが、奏斗自身が同じ立場だったこともあってわかるのだろう。

「やましいことがあるから余計にそういう展開になってしまうってことだ。山田だってパワハラを起こしたにも関わらず、ろくに罰を受けなかったんだからだ。会社としての傲慢さが見えているじゃないのか。」

明光は宗の近くにいた。宗はそっと彼の横顔を見た。そこには怒りを感じることが難しい顔をしていた。その顔はきっと刑事の時に得た顔なのだろうと思ってしまった。

「轟が数日したら此処に来ると思うからその時には頼むぞ。」

「わかっているよ。轟もきっと警察に思うことがあるように、同じように追っているんだろ。」

「そうだよ。やめてまで裏社会に入り込むような人間じゃないのにな。」

昔の轟を知っている明光にとって最初に情報屋として裏社会に入っていることを知って驚きしかなかったが、事情を知って仕方ないと思ってしまった。それくらいの人間なのだと思った。警視庁も見て見ぬふりをしていなければならない屈辱もあるのだろうから。明光はそういうとかえってしまった。

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