見えぬ世界の行方
それでも何時からか康太が政治家になることを周りが許しだしたのだという。それは康太がベンチャー企業で経営が良くなってきたときらしい。父親の勉は嫌がっていたのだという。
「勉はせめて政治家になる意思があるのなら秘書から始めるか、事務所スタッフで始めないと許さないといったらしいんだよ。そのこともあって事務所スタッフをしていた時期があるけど、どうもそこでやっている人と難しいところがあったらしくてやめそうになったのを弟が止めたっていう話だ。」
弟はもともと康太を利用するつもりで彼を政治家の道へと進ませたのだとしたら余計に質が悪い。康太自身それに気づくこともわからないのだろうからと思ってしまったのだ。
「それを知るためには増岡の弟の名前が分かったらいいんだな。」
「そんなものだよ。きっとそれ以上かもしれないかもな。」
「単純に考えておかないと後々に大きな出来事に発展したとしてもありえたんだからっていうゆとりくらいはもっていたいだろう。嘘でも・・・。」
宗は自分のテーブルに手をゆっくりと置いてじっとしていた。何処かで救えるものがあるのだろうかともわかっていないのだろう。相手は現職の総理大臣となると立場的には悪くなると思って情報を言わない人だっているだろう。金をもらっている人とかもそうだろうから。
「まぁ、現職の総理大臣と対立するなんてめったにないことだからしっかりやろうぜ。」
龍哉が乗り気な声でいったのだ。有耶無耶になってしまっている裁判のことも関わってくるのでそのことの挽回につながる上に裁判で上回ることができるのだとわかっているからだ。
「サンズ自体の裁判によっての勝ち目がないから弁護士が示談を言ってするんだよ。前科はつかないっていうだけであってそれ以上もそれ以下もないんだよ。」
サンズの示談請求に対して相手のほうは嫌がっていることもわかっているのか、説明を要求してもなお何もしていないのだというのだ。それに憤りを感じているのは龍哉もまた同じなのだという。
「このままじゃあ示談に終わらないって弁護士はいっているだろうな。誠意を示さないと相手に伝わらないっていっても聞かないままなのかもしれないな。・・・ああいうところの弁護士になるくらいなら負け戦くらいの裁判をしておきたいなって思うんだよ。」
自分の利益ばかりを主張をしたままで一向に前に進まないこともまたしかりだろう。社会的に見てもよく思われないのだろうからと。




