見えた光は闇に消える
前川総一郎という名前は宗は聞き覚えがあったのだ。前川は確か何処かの探偵事務所に依頼をしてきたことがあった。
「前川って何かをした後にエンジニアになったのか?」
「そうです。・・・最初は小売りに入っていてそこでやる気をなくしたとかで転職で高橋小太郎の会社に入ったみたいなんです。だから、俺があった時には転職を繰り返していたんです。」
「たぶん、誰かの内通者っていうことは考えられないか?」
彼はその言葉に戸惑った様子があったが、納得するしかなかった。以前に探偵事務所に依頼をしていたうえに依頼内容が何処か普通と違う気がしたのだ。
「俺がいたときに来たってことは本当の仕事とは違うことをすでにしていたということになる。俺が調べたっていうことは身辺調査だ。結婚するからだとかいったとしても浮気調査よりは需要は少ないんだよ。」
前川にはすでに雇い主がいるっていうことになる。奏斗には酷だが残酷な願いを受け入れてもらわないとならないといけないのだとも思ってしまったのだ。それは奏斗自身で調べるということだ。轟の手を借りたとしてもいずれにしてもわかってしまう。ならば、自らの手で調べるほうが納得がいくのだ。
「わかりました。轟さんの手は借りたとしても俺が調べます。・・・内通者であるとすれば誰なのかを知っておく必要がありますからね。」
「ごめんな。残酷なことをいって。」
「構わないですよ。宗さんだってそういう調査をしてきたんでしょ。俺だって覚悟はありましたから。安い覚悟かもしれないですけど・・・。」
奏斗はそういってコーヒーを飲み干してマスターに新しいコーヒーを要求した。前川総一郎が立場を隠蔽して他の会社でスパイをしていたとしてもなんのために行っているのか。それすらわからないままだ。小売りにいてそのあとはもっぱらベンチャー企業に多く在籍をしていると仮定をするのならばそこを観察をしていてパンドラの箱が空けられようとしていると伝えているのではないか。
「パンドラの箱っていうのは大きな物体なんでしょうね。じゃなきゃ、俺たちみたいな事務所が調べることが簡単で大手の事務所ができないのは納得がいきます。だって圧力っていうがかかるんですから。」
「ひとまず、一回冷静になってみるしかないということか。」
宗は残っていたケーキを突っついて食べた。さすがにうまいケーキなのだが、何処か見た目だけに過ぎないようにも感じてしまった。うまいコーヒーで流し込むしかできなかった。




