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見えない覚悟

それから数時間経ったとしても何も変わらなかった。ただそこに増えたのは現役の刑事として走り回っている人がいることだ。

「死因がわかったのだろう。」

「はい。笹田さんが予測していた通り、自殺ではあります。何故そのビルの屋上であったかは定かではありません。ただ遠くに遊園地が見えるか見えないかくらいの距離になります。」

刑事は淡々と話している。司法解剖を待ってから帰ってくることを伝えられていた。笹田は経験をしていることもあり何もしなかった。白浪の何も言えない表情に押し黙ってしまった。彼がしたかったことは残酷なことなのだろうかと思った。人々の感情の表面しか見ないことで分かることなんて限られてしまう。そこから生み出されてしまうのは己が己に課した条件なり課題に対する奴隷になり変わってしまうことなのかもしれない。誰かに縛られてしまったほうが楽なのは単純で明快に過ぎない。

「人に課した課題よりも自分に課した課題のほうが厳しかったら気づかないことが多いのかもしれないですね。それにより引き起こされることも多いじゃないんですか?」

笹田に向かい合っていた刑事が少し申し訳なさそうにうなずいた。覚悟を見せてもらっているように感じた。

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