描いた道の行方
奏斗はその名前が気になったので、すぐに検索をかけたのだという。彼が作ったと思しき会社もあったらしくホームページは残ったままだったというのだ。高橋小太郎は昔、プログラミング教室を行っていたほどだった。
「奏斗はそこに通っていたのか?」
「たぶんですね。曖昧な記憶しかないんですけど、かすかに記憶として残っているのは優しくてよく聞いていたんですよ。・・・母親はその人がテレビに出るようには見えなかったのに、うまい人に教わるのがいいといったんです。」
髙橋小太郎はそれほどひっそりとしていた存在の人だったのだ。プログラミングで政府に要請を受けるということは信頼もあったということになる。その存在の彼が全くと言いほど動いている様子もないのだ。
「山田が殺されたことと何かつながりがあるのかどうかはわからないですけど、俺なりに思ってしまったんですよ。高橋小太郎も何かに巻き込まれたんじゃないかって。」
古い週刊誌の記事には彼の熱愛が取り上げられていたこともわかったのだという。その恋人と思わしき人すらも現れないのだ。恋人の名は石堂あかねといったのだという。石堂は芸能界やら政治家やらのつながりが全くないといいほどの一般人だった。それすらもすっぱ抜かれるというのは高橋という人の偉大さが分かるような気がしてならなかった。
「その石堂っていう人の存在もわからないのか?」
「そうみたいです。轟さんに捜索願を受けているかと聞いたところ、2人とも家族から出されているにも関わらずどうも警察が大して捜索をしていないことが分かったんです。建前だけの捜索をしたんですよ。それは政治家がかかわっているという証にも思えないですか?」
「そうだな。山田のことも含めて調べるしかないだろうな。」
轟はすぐに気になったことに対しては奏斗に送っているようであったのだ。サンズという会社には曖昧にしてしまうほどの何かを抱えているとしか思えないのだ。それでも宗はまだ出ていてはいけないと思っているのだ。奏斗とともに近くの喫茶店に入った。コーヒーとカフェオレを頼んだ。
「それにしても轟はすごいな。奏斗にキチンと情報を得たことを伝えてくれるところがさ。元刑事だったんだからそれくらいは簡単か。」
「そうじゃないですよ。俺が気になったことを俺が調べてほしいっていっているんです。そうじゃないと納得なんてしないでしょ。ましてや片方は探偵、片方は弁護士って資料が必要に決まっているじゃないですか。」
のんきにパソコンの前に座っているように見えて2人の行動を見ていたのかと思うと感心してしまうことにあふれてしまった。
「そうか。ごめんな。」
「違いますよ。俺なりの貢献の仕方です。・・・前の会社では貢献すらできなかったですから。」
奏斗は照れ臭そうに笑った。




