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ありふれた時期

それから数分後のことだった。轟からナイフが判明したとのメッセージを残した。

「何処にでも手に入るナイフといったところか。疑いなんて簡単に消えないのだろうから。」

「宗にとってはかなり痛手の探偵の依頼じゃないのか。」

「そうじゃないさ。だって、依頼を受けることに過ぎないんだ。まだ何も進んでいないのに痛手なんて決めつけるほどでもないんだよ。」

龍哉はほっとしたように資料を見つめた。奏斗はナイフの情報が幻の一品とかだったらよかったのに・・・とつぶやいた。そのほうが犯人を特定しやすいからだ。

「あとのことは貴方たちに任せるわ。私たちが出る幕じゃないことくらい理解しているから。春香も心配していないのもわかっているから。」

「そうよ。お母さん。宗さんと龍哉さんは腕のいい事務所で培ったものがあるのよ。奏斗さんだって腕は確かよ。それを信じないで何を信じるのよ。」

「そうね。私が勝手に侮っているだけかもしれないわ。・・・同じ立場だった時に貴方たちみたいな人に早く会えていたらよかったのにとも思ったことがあるわ。」

真由美は言葉の切らすようにしていっていなくなった。真由美の過去は宗は知っているのだ。真由美は以前の旦那の結婚したときに仲良く暮らしていたのだ。彼女もまだ正社員として働いていたのだという。それでも春香が生まれるとわかった時にやめる決意をしたのだ。それほど信頼しきっていたからだ。だが、旦那が不倫をしたのだ。会社の役員か何かの人だったらしい。社長か会長かのお眼鏡にかなったとして別れを切り出したのだ。それも真由美が悪いように仕向けたのだ。彼は不倫をしていたことを認めることがなかったのだ。それに絶望をして真由美のほうから別れを切り出した。助けを呼べる状態でもなかったこともあって一方的に悪者になって離婚をしたのだ。

「真由美さんもつらい人生を歩んできたんですよね。その時に俺たちみたいに親身にしてくれる弁護士も探偵もインターネットに詳しい人すらいなかったっていうことですよね。」

「弁護士なんて特に金にならないとなると切り捨てるほどの人だっているんだ。それくらいシビアな世界になってしまっているんだろうな。」

「彼女は悪者になったままなんですか?」

宗は首を横に振った。

「俺たちが最初に来た時に依頼者としてきたのが彼女だ。龍哉がキチンとしたさ。元旦那の悪事が暴かれたことによってその人は会社をクビになったんだ。それをひた隠しにしていた娘も役員の立場から降ろされたうえに子会社の社員として働いているんじゃないか。侮辱を受けているんだよ。」

子会社に働くことが嫌になった彼女はそこでの噂が消せぬまま、別の会社で働いているという噂もあるのだ。

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