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うまい絵を描く

店主は何処かのんきにしているようにして見えて計り知れない何かがあるようにしか思えなかった。村上が勝手に身構えてしまっているだけなのを察したのかもしれない。

「警戒する必要はないよ。俺はただサラリーマンをやめて始めた店を守りたいといったら彼も賛同してくれたんだ。チェーン店ばかりあふれてしまったら個性がなくなってしまうからって。」

「そうだったんですね。俺はたいして何もしてないものですから・・・。」

「そんなことも言っても君も探偵なんでしょ。大きな事務所に知り合いがいるとか言っていたから。」

彼からすればそう見えるのかもしれないが、村上がいるところも何処が大きいといえるのだろうかと思ってしまう。恐らく、別の探偵の知り合いのことを言っているのかもしれない。同じやめけんの事務所であるのは確かではあるが・・・。

「彼は元刑事っていう肩書があるんでしょうけど、俺はこれといって何もないんです。だから、彼にコーヒー代を余分に払わしてください。」

「わかったよ。名前は出すかい?」

「出さないでもらえますか?俺はそんなことをするのは得意じゃないので・・・。」

店主は何処かで聞き覚えのある言葉なのか、理解するのに時間はかからないというように大きくうなずいた。余分といっても財布に入っているはした金を出すにしか過ぎないのだ。彼へと情報提供の遠巻きの感謝でしかなかったのだ。

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