未来と決別
真由美と3人がたわいもない話をしているとドアをノックする音が聞こえた。
「新たな依頼者かしら?」
「違うよ。きっとね。」
笹田がドアに向かってどうぞというと恐る恐るというよりかは知っているように豪快に開けた。そこには黒スーツにピンクのブラウスを着た女性が立っていた。
「お母さん、やっぱり此処にいた。」
「春香じゃない。どうしたの?」
「どうしたのって仕事が終わってスナックにいったら定休日ってついていたらもしかしてと思ってきたのよ。仕事が終わったから手伝おうと思ったのに・・・。」
春香は何処か物足りなさを感じているようでもあったのだ。奏斗は春香がはしゃぐようにしているのにも何処か冷めた目をしていた。白浪はじっと見つめた後に資料に目を寄せた。
「久しぶりだね。春香ちゃん。」
「久しぶりです。笹田さん。お母さんが此処に来るとしたら世間話をするか、仲介料をもらいに来るとしか思えなかったんですよ。だから此処に来たんです。・・・もし仲介料をもらいに来たのだとしたら謝ります。」
「構わないよ。俺だってその契約で真由美さんとしているんだから、気にすることはないよ。それにお母さんが来ると騒がしくなっていいんだよ。」
笹田がそういうと春香は苦い顔をした。きっと仕事でミスをしたのだろう。それを隠すためもかねて来てるのだと思った。
「相談ならいつでもきていいよ。相談以外でもいいんだ。俺はしょせん、何もないからそれくらいしかできないから・・・。」
「そんなことないですよ。だって笹田さんは私より早くに社会に出ているじゃないですか。それで人とのかかわり方も知っているじゃないんですか。」
真由美も心配そうな顔をした。奏斗と龍哉は宗の言葉に心配なのか、声には出せないために目をうろうろさせていた。
「俺はさ、一回警察に疑われた人間だよ。そんな人間がのんきにしていることは普通はできないんだよ。一回でも疑われたら何度でも疑われてしまう定めがあるんだよ。」
「あの事件は警察の怠惰って言われているじゃないですか。」
「そうよ。あっちゃんから聞いたけど、初動捜査がろくにできていなくて証拠がそろっていなかったこともあって貴方を疑ったんだっていっていたわ。大体探偵をしていたからって養護施設を育ったからっていう理由で疑っていたらそんなのちゃんとした捜査じゃないわ。・・・誤認逮捕しかけたというのに謝罪もないんでしょ。いいご身分だわ。」
真由美は思い出したのか、不愉快そうな顔を隠さずにいった。




