晴れやかなできもの
「公安にいて問題を起こしたっていう風にとられているのはあくまでも警察という組織においてという言葉が前置きしないとダメなんです。」
「それは刑事殺しにかかわるからということですか?」
彼はコーヒーをふっとした顔で飲んだ。少し苦かったのか、目をつぶったのだった。警察という組織を守るために身内の死すらもいとわないというのか。あまりにも残酷な結末になったのだ。
「刑事殺しは公安と捜査一課の人によるものになるんです。監察官が出てきたんですよ。公安の監察官はかなり重い罰のほうがいいって言ってたんです。警察の監察官もかと思ったんですけど、どうも腑に落ちない言葉ばかりを並べたんですよ。剣持はいわばコネで入ったとされる人間ってこともあって有耶無耶にしようとしたらしいんです。」
有耶無耶にするにしても人の死がかかわっていても聞いていなかったことにしろ、見なかったことにしろのかん口令ばかりがつぶやかれていたのだという。従わないというならやめてもらうなどと何処ぞのブラック企業のように吐かれていたのだと。彼はその姿をまじまじ見ていたのだという。誇りなんてない。汚名ばかりを望んで張り付けているようにも見えてしまったのだという。上司に疑問を問うても邪魔者扱いばかり。嫌気がさしてやめた人も多かったのだという。




