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笑顔の裏の裏

尚子の口ぶりは何処か救いのないものを感じてしまってしまった。警察と戦うというのはそれくらいの覚悟が必要だということなのだ。彼女はすぐさま、携帯を取り出した。

「もしもし。急用なんだけど・・・。」

親しい間柄なのだろう。堅苦しくないことが明らかにわかってしまった。警察とつながりのある人物なのだろうから。彼女も少なからず、検事の娘だったことも功を奏したと思っていたのだろうが、嘘に塗り固められた現実がわかったときの残酷さは計り知れない。

「わかったわ。最後ってこと?・・・違うのね。正義と戦う分には手を貸してくれるの。有難う。」

手を貸した相手は分からないがそれでも何かわからないものっていう感じではなかったのだ。正義を振りかざして悪に染まってしまうのはいやなのだろう。彼女は携帯を切った。

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫みたい。彼女は警察上層部の娘なんだけど、警察っていうのはいやらしくてね。組織のためという常套句を聞くよりもって思っているらしいの。だから、此処まで来たら公にするように求めるらしいの。いずればれることなんだからって。」

父親に駆け寄るくらい簡単なのかもしれない。それだけでどれくらいの人間が救われるのだろうかと思ってしまった。正義というのは武器じゃないのだと心底思った。

「村上もまぁ、危険なことをするのね。」

「あいつほどじゃないんですよ。ただ、俺は過去に消された真実を見たかっただけです。そこで裁かれた人がいるのも事実ですから。」

「そこまで言われたら何も言えないわ。」

彼女は優しく微笑んだ。

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