埋もれた嘘
情報屋という仕事には綱渡り状態になってしまうのだ。情報によって揚げ足をとられたりするんだろうから。そこに足を踏み入れてしまったのなら暴力団だの半ぐれだのやくざだのデータをおのずと持っていることにもなってしまう。知ったが故に殺されてしまう可能性も高いのだ。
「轟は危険を冒してでも情報屋になったんだ。刑事殺しで殺された息子が情報屋という裏社会で生きることを選んだのは権力に負けた警察の汚点だからな。見守る意味も含んでいるんだろうが・・・。」
「お前は殺された公安の名前も分かっているのか。」
「あぁ、言わないがな。その公安は頭もいいし、行動力もあった。正義感の塊みたいな人間だったそうだ。嘘に塗り固めた上層部のやり方に疑問をもって調べたら殺されたみたいなもんだよ。死人に口なしっていうだろう。どっちが情報を改ざんしているんだっていう話だよ。」
宗はそんな警察を眺めているのだろうか。嘘と真実を比べた時に天秤が機能してないのは一体どういうことなのだろうかと思ってしまうのだ。消えてしまったデータは復元できるのだろうから。あらがうことにしかできないわけじゃないのだ。裏にある揚げ足をとってしまうほうがいいのだろうかと思ってしまうのだ。
「お前は来なくてもいいぞ。まぁ、目を付けられることはいいことにならないからな。俺は慣れてしまったけど・・・。」
「行くからな。俺もかかわっているし、それを知ることで分かるんだよ。世間より遅れているのがわかってしまうから。」




