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進んだ夢

翌朝になって村上は川城探偵事務所に顔を出すことにした。笹田が見えない計画に加わっていることはわかってしまっているものだ。事務所の入り口に若手が集っていた。

「どうしたんだ?」

「村上さん、俺が調子づいてちゃって空回りしてしまって相手側に探偵がいるってわかってしまって不利になってしまってクレームを食らって・・・。」

「こんな仕事はな、自分で尻拭いをするもんだ。すぐに所長に頼ったところで何も解決しない。お前らが協力すればできるだろう。1人じゃないんだから。」

落ち込んでいる1人の若手を見て周りにいる若手が全くフォローすらできなかったのだろう。何処か他人行儀にしていてばことが済むという安易な考えが張り付いてしまっている。

「お前らに俺はそんなことをしろなんて教えていない。こんな仕事をしているんだ。何時、自分に降りかかってくるかわからないんだ。いずれは独立するんだとかほざくのは勝手にすればいいが、今守るものを守らないと依頼者も守れないんだ。・・・まぁ、悩め。」

村上は吐き捨てるように言った。彼らをなだめるほどのところでもないのでそそくさと事務所に入った。

「貴方にしては厳しいことを言ったのね。・・・かなり落ち込んでいるみたいだし・・・。」

尚子がよく言ったとまではいかないまでもそっと肩をたたいた。村上にはその厳しさを教わったのは遠かれ笹田だったからだ。誤認逮捕を受けたときに突き放されそうにもなったのだ。

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