罠のかけら
刑事殺しの被害者が裏社会で活動をしていることを一体何時知ったのだろうか。全くわからないのだ。もし、笹田が轟のことを調べていたとしたらそこまでたどり着いている可能性は高い。
「所長、事務所に戻りませんか?あいつのことです。手がかりを置いている可能性もありますし・・・。」
「そうね。あの子がへまをするような子じゃないのよ。気付いてほしいと思っているのならおいてるわね。」
川城は納得したのか、伝票をもって立ち上がった。経費として落とすくらいは容易に想像つくものなのだから。単純だなんて言えてしまうのだろうかとなってしまう。村上はそれを追いかけるようにして立ち上がった。
「もたもたするじゃないの。打つ手がなくて積んでしまったら困るの。相手だけにね。困ったものね。」
「わかってますよ。厄介だってことは。俺は何度組んでいると思っているんですか。」
「そうね。私が笹田君を守れなかったときまでは・・・ね。」
彼女の瞬間的な間が寂しさをにじませていた。そうなってくると彼にかけられた誤認逮捕というのは仕組まれたものになってくる。動きを止めるために仕組まないと仕方なかったのだ。相手側がその手を打つというのは警察が関与している可能性もある。
とぼとぼと2人で歩いているうちに目的の事務所までかえっていた。それに気づくのは遅くなってしまうほどだったのだ。




