砂嵐のように
田沢は腕は会社から認められているというのにどうにも大きな面を扱わせてくれることはないのだ。
「彼は書く腕はいいんだよ。ネタも的外れなことはしないんだ。ただ、コネの連中が優遇されてしまって影になっているんだ。編集長もわかっていないんだろうな。」
きっと宗は週刊誌を何冊も読み漁ったうえで妥当な人を選んでいるのだろう。下手なことを書かれたら困ったりするのが目に見えているからだろう。ましてや、警察官の息子だということも分かったうえなのだろうから。
「村上さんは笹田さんで困ったことはなかったんですか?」
「ありましたよ。行動は身辺調査が主だったこともあって情報も俺より早くて当て馬のようにされてましたから。けど、そのこともあってわかることもあるんですよ。残酷ですよ。何処から腕を磨いているんだと思いますよ。」
「お前がわかっていないんだからだろ。何処が浮気をしているからを創造できていないからって俺がつかされていることが多かったんだから・・・。所長も困っていたぞ。」
村上はお人よしの部分が垣間見えてしまうのがあだになってしまったときのほうが多かったのだ。単純に見たものを伝えるのに向かなかったのだ。宗はそこの観察がよかったのだろうとなるのだと思った。
店員がこれ見よがしにコーヒーを3つおいていった。顔を知っているからこそ、多くは語らなかった。
「それよりこれをいくらで買ってくれるんだよ。」
宗はポケットからお粗末にデータを見せつけている。それに彼はげんなりした顔を張り付けているようでもあった。
「10が限界です。内容も分からないのにそれ以上出せというのは無理です。」
「そうか。MがTを脅しているような代物だ。」
「そうですか。だったら10より上かもしれないんですね。」
田沢は渋い顔をする様子もなく答えた。きっと宗は扱いにくい相手であるのは目に見えてしまうのだから・・・。
「そうか。まぁ、好きに悩んでくれ。俺は待っているから。」
そういって宗はコーヒーを飲み干していなくなってしまった。




