つむったもの
村上は探偵という仕事を選んでいなかったら何をしていたのかを考えてみる時もあるが、それが想像がつかないのだ。
「奏斗、轟が来なかったか?」
「来ましたよ。情報源を欲しいっていってしました。まぁ、そこまでつかめていないといった残念そうな顔をしていましたけど・・・。」
「裏でも取り合いだもんな。奪われる恐れのある情報は得ない主義だからそこも狙われないんだろうな。轟になら渡してもいい情報は渡してくれたのか?」
彼は頼りないような顔をしてうなずいた。その情報が生むのは大きな反乱だとわかっているだからだろう。もしくは彼にとっては嫌なことなのかもしれない。龍哉は2人の様子を眺めているようでもあった。
「奏斗、どんな情報を流したんだよ。」
「増岡勉が裏で金を渡しているっていうやつだよ。今は隠居のつもりか、見せかけているだけかもしれないが、それでも何もならない。きっと握りつぶさせて終わるんだよ。」
「そんなことはさせないよ。握りつぶせないほどのものがあるのは知っているんだから。」
宗はそう力強い言葉でいった。握りつぶせないといっていたのだ。導いているのはいったいなんであろうか。彼の携帯に電話がかかった。
「もしもし。あぁ、買ってくれるんですか?」
「安くはないのは承知の上でかけてくれているのはわかっているんですから。」
宗の声の張り方が何処か脅しのようなそうではないような言い方だった。週刊誌の記者が知り合いにいるといっていたのだ。その人物なのだろう。買ってくれるのかともいっていたが、ある意味保護もかけるのもわかっている。
「うまい活用をしなかった場合はうちでは動かしますよ。わかっていますよね。ばれますから・・・。」
誰を動かすつもりで言っているのだろうか。奏斗なのか、龍哉なのか。はたまた警察なのだろうか・・・。




