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追われるサメ

2人は検察庁を出た。検事という肩書を捨てる覚悟ができている人間がした行動を訴えてくるのだろうから。

「村上、データを受け取ったけど、奪われるのが分かっているから少し戻るか。」

「戻るって。すぐに渡さないのかよ。」

「知り合いの週刊誌の記者が悪用するとは思わないよ。むしろ、部外者のほうだ。裏にはきっと大きなものが見ているのに無防備にいるほうが可笑しいだろ。」

宗はそういって携帯を取り出した。ある人物に事前準備をしてもらうために過ぎない。その人物は二つ返事で了承をした。簡単だと笑っているような感じに思えた。

「誰にかけたんだよ。」

「考えてみろよ。俺が信頼できて動かすことのできる人間だよ。お前だってあったことがあるはずだぜ。じゃなきゃこんなことをしているわけないだろう。」

歩道を歩きながらとは言え目をつけられている恐れだってあるのだ。交通機関を使って来たほうが下手な動きを見破ることができない。村上はレンタカーを借りておくほうがよかったと思った。

「村上は車で来たほうがよかったと思っているか?」

「あぁ、お前はわかるのかよ。追ってきている人間がいることに・・・。」

「当たり前だ。俺が主に事務所でやっていたのは身辺調査のほうだ。浮気調査をしていたわけではないのだ。後ろにわからないように尾行している奴がいるが、あれは素人に過ぎない。まかれて終わりの下りだ。」

宗が後ろのほうを見ているとそそくさと気づかれていないふりをしているがある種の茶番にしか過ぎないのだ。それもわかっていないのだ。

「腕の悪い探偵事務所ほど金を積む金額が高いんだよ。点々としてわかったよ。腕を極める前に一人前として働かすんだよ。金になった時はいいがならなかったらどうにもならないからな。多分、川城三郎が用意したんだよ。」

クライアントとかいってペーパーカンパニーを作っても警察にもグルになっている人がいるのなら容易いことになってしまう。下手に逃げるとばれてしまうので誘導を作って逃げるのが一般的だ。それに加えて単純に敵にできない相手だとわかるはずだ。宗は再び携帯を取った。

「もしもし。」

「宗さん。どうしたんですか?」

「ありゃBだ。Bの連中が追ってきているからそこの探偵事務所に何か仕掛けてくれないか?」

「わかりました。・・・まぁ、簡単に解除できないシステムにしておきます。」

「頼んだ。」

奏斗はパソコンに向かっている目が変わった。

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