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罠の敵

受付の女性はアポを取っていないことをよく思っていないのだろうが、本人が会ってくれるといっているのが分かっているからつべこべ言わないのだろう。そのような感じが見て取れた。かすかに見えるふてぶてしい態度というのを隠すために仮面をかぶったかのようになっているのだろう。

「それではこちらにお前をもらってもいいですか?」

彼女にいわれるがままに名前を書き込んだ。会う目的など書く欄があったが、宗はただ嘘を書いた。それが分かったからとして後の祭りになるのはわかっているからだ。村上は躊躇なく書いているようには見えなかった。彼の怯えたような表情を隠すようにしていた。

「担当のものが来るまでそちらの席でお待ちください。」

「わかりました。」

村上がひやひやしていたのか、何処か冷ややかな顔を宗に見せた。きっと何処かで断れた時のことを考えていたのだろう。その時には宗には別の手段を選べばいいのだろうからとなるのだ。きっと彼には断れなくなるようなものがある。

「お前、断られたときのことを考えたのか?」

「考えていたさ。俺だってバカじゃないんだからな。それに大概の勝率で行けると読んでいたから行くことを選んだよ。いけないと思ったら別のことを考えるさ。それに和解までして隠したいことが丸見えで嫌なんだよ。」

サンズの会社の責任がとらわれる状況になってしまったとしてそれを部下に充てられるのは知っている話なのだ。サンズはいかに傷つかないようにできるかを探しているはずだ。田中が死んでいる以上週刊誌が張り付いているのは事実だ。そこで墓穴を掘るようなことになれば痛手になりつぶすことにつながるのだ。

「きっと川城はビビッてきっと増岡にいうと思う。まぁ、言うのはもっぱら父親のほうなんだよ。子供は一切何とも思っていないっていう結末だ。」

「なんだよ。心配なんていらなかったじゃないか。まぁ、お前でよかったよ。下手な弾を打つようなスナイパーじゃなくて・・・。」

村上は複数の人ときっと浮気調査をしていたのだろう。その時に下手な出方をする人と組んでしまったのだという。その人は探偵になり立てということでうかつに言わないようしていたがぼろを出すような形になってしまって依頼すらもつぶしかけたのだという。

「そいつはずっと浮気調査とかもやっていたけど、最終的には仕事が合わないとかいってさ。やめたんだよ。」

調べるうちにわかったのはその浮気調査のスパイ的な役割で調査をつぶすことを目的としていたのだという。意外な罠に引っかかってしまったのだ。


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