行き止まり
警視庁のおひざ元に探偵事務所を構えていたとしても恩恵なんてなかったのだ。警察に相談したとしても事件になっていないことを理由に依頼が来る程度だった。それは正せば警察が事件になっていない状態で動いていれば解決することが多いことを指し示すような感じになっている。村上はそっとついて歩いている感じがあったのだ。
「検察庁に顔出したことないな。」
「まぁ、ないよな。弁護士になったとしても相手なんだけどな。龍哉が時々検事に会っているんだよ。どれほどあくどいことを考えているかを見るためにな。」
龍哉は資料を山ほどため込んでいるのも検事によって傾向が変わってくることを示しているのだ。被害者または加害者を調べてみるとある程度先が分かってしまうのだ。それをわかったところでいったい何になるのだろうかとなってしまう。探偵という仕事は何が正義かを問うためにやっているのではないのだ。調べたということがカギになってくるだけなのだという。
「川城三郎は恩恵を受け取っているのだとするなら決まった店があるはずだ。そこに張り込むしかないんだよ。けど、何時来るかわからないことに時間をかけるよりもわかることはあるものだよ。」
気づかぬふりをして突き進めば何処かで己の哀れさを悔やんでしまうことを目に見えているのだ。それなら正義などといわずに目の前に映ったことを示すことができれば十分なのだと。
「川城三郎は黙っていても翁助に手を出せば慌てて確実にぼろが出るものなんだよ。そんなものなんだよ。」
「哀れなほど権力の持っているものは自分をいかに守るかに力を入れてしまうからな。それでわかるんだろうな。」
「俺の場合はその辺は奏斗に任せているからな。近しい人物にぼろを出したがっている人物はいるもんなんだよな。その人のほうが案外自分の立場よりも正義を融通利かす人もいるのだろうから。」
とぼとぼと歩いているうちに大きな建物についた。そこには税金をつぎ込んでたてた建物とは思えてしまってうんざりしてしまったのだ。無駄遣いなどとほざいている割には政治家の無駄遣いには黙っているのはどうなのだろうか。それで綺麗さっぱりなくなってしまったと勘違いをしてしまうのか。それくらいなら持ち金全てを戻す覚悟もない癖して偽善者を気取る。下手な演技をするしかできない奴しかなれない職業なのかもしれないのだ。それが分かったことで何も変わらないのは確かなのだ。進んでいない道でしかない。




