進んでいる声
そこに利用されたのは川城の子供だった。本人はきっと一時はしていたのだろうが、罪悪感なんていうものはある時から過ぎ去ってしまっているのだろう。何が善と悪の区別がつかぬままになっている現実をわかっているのだろうから。
「龍哉は裁判所のさ、判事から話を聞けないのか?」
「難しいじゃないか。判事といっても検事ともつながっている連中がいるからな。そうなれば黙りこくって最後だよ。俺の行動を警戒して何も行動を起こすことがないようになったら終わりだよ。」
「なんだ。お前の情報源はそこで途絶えるのかよ。」
宗は何処か子供がおもちゃを取られてしまってすねているような表情をした。そうなったら宗はいやでも動き出すようになってしまうのだろう。奏斗はそっとパソコンを動かし始めた。
「まぁ、川城三郎だとかいう名前を出しておけば誰かが告げてくれますよ。」
「有難う。やっぱりすごいな。」
龍哉は資料を眺めてきっと裁判の経歴を見ているのだろう。勝ち目のない裁判をやらざる負えなくなった弁護士がいるはずだと思っているのだろう。国選で選ばれてしまったら最後と思ってしまうのだろうから。名乗り出る弁護士なんて金の目的もないとしか思えなかった。
「田口真澄か。」
「龍哉、どうしたか?」
「田口が一時から名乗り出ている。川城尚子がかかわっていたら手を挙げているっていうことだよ。」
田口は国選で選ばれたわけでもなさそうだった。それなのに利益を差し置いてでもやらないといけない裁判だったというか。田口は別の会社にいてサラリーマンをやめてまでなったのだとしたらなる理由を探していたのかもしれない。
「田口真澄は親が会社を経営をしていたんだよ。その会社はあっけなくつぶれてしまったんだよ。その理由が川城の裁判がかかわっていたとしたら・・・。」
「どういうことだ?」
「川城三郎の嘘の裁判を誘導する形で誤認逮捕を起こしてしまってことで、その会社がつぶれてしまったということか。」
川城三郎が起こした裁判は全て誤認逮捕された裁判は再捜査が行われてしまっていて全て間違いだと証明されている。その時に警察にも疑いが上がったのだ。嘘を突き詰めてしまったのは警察官の信頼をするのだろうか。
「それでも川城三郎は検事としているじゃないですか。どうして・・・。」
「上層部が止めているんだよ。受け入れてくれる検事なんてなかなかいないからな。それが公にならない限りは大ごとにならないということかな。」




