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見渡す町

その時の楽しかった思い出が湧き出るように出てきた。

「村上はあれか。もっぱら野暮用に付き合わされているのか?」

「所長が言うには俺は当て馬にいそうだとかいってさ、勝手なことをいっているんだよ。それでも野暮用ほどいいことはないよ。所長はたぶん、後継者としてお前を待っているんだよ。ペットから野暮用までこなせる奴なんてなかなかいないからな。」

彼は外の窓を見つめていた。そこには町の喧騒に追われるように逃げるようにしている人達が映っていたのだ。ビルの隙間にとどまっているよりも何処かであふれかえっているようにも思えてならなかった。

「今回の依頼者はろくでもないんだよ。元は自分が浮気かなんかして距離ができたころにそれを取り消すかのようにしているっていう話だ。相手を疑っていればそれで済むって感じだな。」

依頼者の人の周りは何処かいいとは思っていないらしく悪口しか聞かなかった。それでもその噂すらも嘘だという態度でいっているのだという。態度もでかく慰謝料を取るつもりでしか思っていないのだ。それが分かっているからかあまり本気にはとらえていないのだ。携わっている弁護士が限られてしまっているのだ。大手の弁護士事務所が断っていることもあってその噂を知らない小さな弁護士事務所のみが受け取っているのだ。

「厄介な依頼を受けたものだな。」

「まぁ、それでも金に換えられないものはないからな。所長は受けるだけ受けてそのあとは関係ないという感じにはならないから、わざと調べないという手を使ってもいいっていう許可は得ている。・・・もし知られたとしても戦えるんだよ。」

「俺がいるからか。龍哉を頼っているんだろ。」

「正解。白浪龍哉は弁護士業界の中じゃもっぱら腕利きのいい弁護士だって言われているんだ。依頼者に対しても真摯に向き合ってくれることもあって嘘をいったとしてもばれてしまうから困るところもあるだろうけどな。」

白浪は弁護士になった時のことを多く語らなかったのだ。それでも弁護士としての腕が利くことがあったのだ。勉強をしているのだろうからとなる。依頼者というのは選べるものではないことはすでに知っていることだ。それでもと思ってしまうのだろうから。

「村上に尽きるのかもしれないな。」

「そんなわけないだろう。だってしょぼくれた事務所だって成り立っているんだからさ。それもわかっているんだから。」

しょぼくれた事務所なんて町にあふれてしまっていることも事実だ。

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