筋トレ
※魔改造しました!!
日は沈み、真っ暗闇。目をこらして、よく見ると、うっすらと輪郭が浮かび上がります。
大きな箱形の4階建のジム。金庫のような堅牢さです。
アテナ様の手を握り、入り口に立ちます。
ジミカ:「ここが……ジムですか」
鏡のような金属光沢……安心感があります。
アテナ:「入るぞー」
自動ドアは手動でこじ開けます。発電炉なんてとうの昔に破壊されたので、常時停電なのです。
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中は真っ暗、人気も物音も聞こえません。下手なホラー映画よりも不気味です。
アテナ:「まずは…着替えるか」
ジミカ:「着替え…ですか」
アテナ:「ジムウェアなら何枚もあるぞ」
奥の大部屋に案内されます。
アテナ様の手は大きく、力強く、少し汗ばんでいます。真っ暗闇、手の温もりを意識しながら歩きます。
階段登って3階、ロッカールームです。
アテナ:「ちょっと待ってな」ビュン
ジミカ:「あ、あの…」
アテナ:「お待たせ、丁度いいサイズあったぞ」
言い終わる前に、ジャージを脱がされ、シャツと下着も一枚ずつ…そして…手足を握られて…人形のように着せ替えられます。
スポーツブラ…胸を広く締め付けます
レギンス…足になじんで動きやすいです
アテナ:「うん。似合ってるぞ」
ジミカ:「え、あ、はい。ありがとうございます」
今のは素直に嬉しいです。
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[2F トレーニングエリア]
アテナ:「よーし筋トレの時間だ」
ジミカ:「………」ごくり
初めての筋トレ、緊張で口が乾きます。
アテナ:「そうだな……まずはダンベルの使い方を教えよう」
ジミカ:「はい」
アテナ:「画面の前のみんなもやってみよう! エア筋トレ」
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アテナ:「まずは大胸筋系、胸と肩と腕のトレーニングだ」
ジミカ:「はい」
アテナ:「まずはダンベルを両手に持て」
それはダンベル、パワーの象徴。鉄のシャフトに円盤がついた可変式です!
手を伸ばし、右手で掴んでみます。ひんやりとした感触。
そして右手から肩にかけて、パワーを込めて、引き上げてみます。
ジミカ:「うおっ!!」
重っ!? 何キロですかこれ……10キロでした。
アテナ:「まずはダンベルベンチプレス、10回だ」
足を軽く開いて…ダンベルを上まで持ち上げて、肩まで下ろして、上げて、下げて、……
アテナ:「一回〜二回〜三回〜その調子」
最初は意外と簡単かと思っていました。
しかし、すぐに変化が現れます。
肩、首、腕の付け根が熱を帯び、ダンベルを持ち上げる動作が億劫になります。これが疲労なのですね。
ジミカ:「ぐっ……はぁ……」
回数を重ねる毎に、動きは鈍り、少しずつ、疲労が痛みになります。
ジミカ:「んがー、あ゛ー」
どんどん、重く、無意識に「んぐ」と声が出ます。
アテナ:「はい10回」
ジミカ:「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
アテナ:「お疲れ様」ナデナデ
ああアテナ様……聖母のような穏やかな笑顔と筋肉……
アテナ:「……ん?」
どうしました?
アテナ:「まさか…超回復? …飲め、プロテインだ」
ジミカ:「あ、はい。いただきます」ごくごく
シェイカーに入った白濁液を、警戒気味に飲みます。
え? おいしい! バニラ味!!
アテナ:「やっぱり…もう筋肉が増えてる…」
ジミカ:「あのぅ?」
思案顔も美しいです。
アテナ:「ジミカ、計画変更だ。筋肉断裂する勢いで負荷をかけるぞ!!」
ジミカ:「ええっ!?」
アテナ:「大丈夫、ジミカならできるさ!」
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アテナ:「ダンベルプルオーバーァァ!!!」
ジミカ:「ふんぬぅぅぅぅぅ!!!」
ダンベルを引き上げまくります!!
汗が目に入ります、筋肉痛でガクガクです。
アテナ:「ダンベルスクワットォォ!!!」
ジミカ:「うおおおお!!!」
ダンベル下げてスクワットです!!
痛いけど無理やり動かします。
アテナ:「ダンベル腹筋ーー!!!」
ジミカ:「ぐおおおお!!!」
ダンベル持って腹筋です!!
徐々に感覚が無くなって来ました。そして……思考がフェードアウトします。
アテナ:「ワンハンドトライセプスエクステンション!!」
ジミカ:「ほおおおお!!!」
ダンベル片手で持ち上げてブンブンします!!
あはははは〜
アテナ:「そして、ダンベルカール」
ジミカ:「うおおおお!!!!!」
ブチッ…ブチブチブチ!!!
ジミカ:「ぎゃぁぁぁぁぁ」
…
…
……
………
ジミカ:「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
腕が、痛い…
胸が、痛い…
肩が、痛い…
足が、痛い…
喉も肺も腹筋も背筋も……つまり、全身が痛いですッ!!!
仰向けで床に倒れます。筋肉が、動きません。
アテナ:「よく頑張ったな」ナデナデ
ジミカ:「あ、あうぅ…」
全てが許されるかのような穏やかな表情、私は安堵に包まれます。
アテナ:「そっか。動けないんだな…」
おや、何をするつもりで……え、ちょっと、口移しですか!?
ジミカ:「むぐ…」
アテナ:「んむ…」
んく… んく… んく…
暖かくて甘酸っぱい、バニラ風味…
初恋の味は、プロテインでした。