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筋トレ

※魔改造しました!!


 日は沈み、真っ暗闇。目をこらして、よく見ると、うっすらと輪郭が浮かび上がります。


 大きな箱形の4階建のジム。金庫のような堅牢さです。


 アテナ様の手を握り、入り口に立ちます。


ジミカ:「ここが……ジムですか」


 鏡のような金属光沢……安心感があります。


アテナ:「入るぞー」


 自動ドアは手動でこじ開けます。発電炉なんてとうの昔に破壊されたので、常時停電なのです。



▼▼▼



 中は真っ暗、人気も物音も聞こえません。下手なホラー映画よりも不気味です。


アテナ:「まずは…着替えるか」

ジミカ:「着替え…ですか」


アテナ:「ジムウェアなら何枚もあるぞ」


 奥の大部屋に案内されます。


 アテナ様の手は大きく、力強く、少し汗ばんでいます。真っ暗闇、手の温もりを意識しながら歩きます。


 階段登って3階、ロッカールームです。


アテナ:「ちょっと待ってな」ビュン

ジミカ:「あ、あの…」


アテナ:「お待たせ、丁度いいサイズあったぞ」


 言い終わる前に、ジャージを脱がされ、シャツと下着も一枚ずつ…そして…手足を握られて…人形のように着せ替えられます。


 スポーツブラ…胸を広く締め付けます

 レギンス…足になじんで動きやすいです


アテナ:「うん。似合ってるぞ」

ジミカ:「え、あ、はい。ありがとうございます」


 今のは素直に嬉しいです。



▼▼▼


 [2F トレーニングエリア]



アテナ:「よーし筋トレの時間だ」

ジミカ:「………」ごくり


 初めての筋トレ、緊張で口が乾きます。


アテナ:「そうだな……まずはダンベルの使い方を教えよう」

ジミカ:「はい」


アテナ:「画面の前のみんなもやってみよう! エア筋トレ」



▼▼▼



アテナ:「まずは大胸筋系、胸と肩と腕のトレーニングだ」

ジミカ:「はい」

アテナ:「まずはダンベルを両手に持て」


 それはダンベル、パワーの象徴。鉄のシャフトに円盤がついた可変式です!


 手を伸ばし、右手で掴んでみます。ひんやりとした感触。


 そして右手から肩にかけて、パワーを込めて、引き上げてみます。


ジミカ:「うおっ!!」


 重っ!? 何キロですかこれ……10キロでした。


アテナ:「まずはダンベルベンチプレス、10回だ」


 足を軽く開いて…ダンベルを上まで持ち上げて、肩まで下ろして、上げて、下げて、……


アテナ:「一回〜二回〜三回〜その調子」



 最初は意外と簡単かと思っていました。


 しかし、すぐに変化が現れます。


 肩、首、腕の付け根が熱を帯び、ダンベルを持ち上げる動作が億劫になります。これが疲労なのですね。


ジミカ:「ぐっ……はぁ……」


 回数を重ねる毎に、動きは鈍り、少しずつ、疲労が痛みになります。


ジミカ:「んがー、あ゛ー」


 どんどん、重く、無意識に「んぐ」と声が出ます。


アテナ:「はい10回」


ジミカ:「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」

アテナ:「お疲れ様」ナデナデ


 ああアテナ様……聖母のような穏やかな笑顔と筋肉……


アテナ:「……ん?」


 どうしました?


アテナ:「まさか…超回復? …飲め、プロテインだ」

ジミカ:「あ、はい。いただきます」ごくごく


 シェイカーに入った白濁液を、警戒気味に飲みます。


 え? おいしい! バニラ味!!


アテナ:「やっぱり…もう筋肉が増えてる…」

ジミカ:「あのぅ?」


 思案顔も美しいです。


アテナ:「ジミカ、計画変更だ。筋肉断裂する勢いで負荷をかけるぞ!!」

ジミカ:「ええっ!?」


アテナ:「大丈夫、ジミカならできるさ!」



▼▼▼



アテナ:「ダンベルプルオーバーァァ!!!」

ジミカ:「ふんぬぅぅぅぅぅ!!!」


 ダンベルを引き上げまくります!!


 汗が目に入ります、筋肉痛でガクガクです。



アテナ:「ダンベルスクワットォォ!!!」

ジミカ:「うおおおお!!!」


 ダンベル下げてスクワットです!!


 痛いけど無理やり動かします。



アテナ:「ダンベル腹筋ーー!!!」

ジミカ:「ぐおおおお!!!」


 ダンベル持って腹筋です!!


 徐々に感覚が無くなって来ました。そして……思考がフェードアウトします。



アテナ:「ワンハンドトライセプスエクステンション!!」

ジミカ:「ほおおおお!!!」


 ダンベル片手で持ち上げてブンブンします!!


 あはははは〜



アテナ:「そして、ダンベルカール」

ジミカ:「うおおおお!!!!!」



   ブチッ…ブチブチブチ!!!



ジミカ:「ぎゃぁぁぁぁぁ」



 …


 …


 ……


 ………



ジミカ:「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」


 腕が、痛い…


 胸が、痛い…


 肩が、痛い…


 足が、痛い…


 喉も肺も腹筋も背筋も……つまり、全身が痛いですッ!!!


 仰向けで床に倒れます。筋肉が、動きません。


アテナ:「よく頑張ったな」ナデナデ

ジミカ:「あ、あうぅ…」


 全てが許されるかのような穏やかな表情、私は安堵に包まれます。


アテナ:「そっか。動けないんだな…」


 おや、何をするつもりで……え、ちょっと、口移しですか!?


ジミカ:「むぐ…」

アテナ:「んむ…」



  んく… んく… んく…



 暖かくて甘酸っぱい、バニラ風味…


 初恋の味は、プロテインでした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] > 見えますか? 今、まさに筋肉の中でビッグバンが非可算無限発生してるのですよ! しかし……脳に筋肉が足りておらぬと言わざるを得ないのじゃ! 多分、頭の中まで筋肉で一杯なら、非可算無…
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