きみはいつも。
「もうっ……聞いてるの?」
そう言って、すぐさま膨らませた頬。
知らず知らずのうちについた癖。
片肘をつき、窓の外を眺める、ただその横顔が愛しい。
もう、溶けてなくなりそうなぐらいにその塊は残りわずかになっていた。
ストローを掻き回して、カラカラと鳴るコーヒーカップ。
乾いたテーブルを濡らす雫が、ボクの気持ちを代弁しているみたいだ。
「聞いてるってば」
まるで晩秋の夕暮れのように染まる彼女の頬っぺた。
――あぁ、きみはいつも――
怒っていても、可愛いひと。
ぷっくりと不貞腐れた、その姿すらも。




