迷宮第四十一階層
お待たせです。
ルビを変えました
不通の結界→不通の結界
魔法とルビを考えるのが大変な私の気持ちをわかってくれる読者さまはいるでしょうか?
それと今更ですが思念話が思念波になってました。
すみません。
迷宮第四十一階層
そこは獄炎の地獄であり、獄炎を使う悪魔が大量に跋扈する危険地帯である。
そんな場所を二名の悪魔が何事もなく歩いていた。
ネア、ノアである。
彼女らはデミルから、
赤黒く揺らめく炎の中をネアとノアが歩いていく。
「かれこれ三時間んぐらい歩いているけど、何も来ないわね」
「そうですね。デミルさんからはかなり大量の悪魔がいると聞いたのですが、、」
「う〜ん。一応周囲を見てみる?」
「そうですね」
二人は超位魔法:『生物感知』を発動し周囲3kmの魔物や悪魔を捜した。
だが、一体も感知には引っかからず二人は首をかしげる。
「いないわね。あいつ嘘ついて楽しんでたりする?」
「ありえなくはないですが、、そんなこと嘘ついたりしなさそうですよね」
「まあそれもそうね」
「そういえば、デミルさんに何か言われていませんでしっけ?」
「確か、あいつは迷宮内中央に生息する獄炎竜を見つけ次第連絡しろと言ってたけ?
だけど『思念話』が届かない距離なのにどうやって教えろっていうのかしら」
「わからないですよ?案外近くにいたりするかもしれません」
「確かにいそうね」
そんな会話をしながら彼女らは迷宮の中を進んでいく。
数分もしないうちに彼女らは迷宮中央付近の溶岩湖についた。
「しかしでかいわね」
「そうですね。いくら炎耐性があるとしても溶岩の上は熱気ですから熱耐性ではないのでダメージを受けますし」
「そうね。第一位階魔法:『全氷結』」
絶対なる氷が溶岩を氷結させる。
だが溶岩の氷は自らの熱と周りの溶岩の熱で蒸発して行った。
「ダメみたいね」
「ではこれはどうでしょう。第二位階魔法:『地の巨槍』」
地面から大きな槍が飛び出る。
その槍は溶岩湖の対岸に伸びていき大きな一本橋を作った。
「お、ナイス」
「溶けなければいいですが、、」
「ならさっさと渡っちゃいましょう」
幸い魔法の槍は溶けることなく二人は無事に対岸に渡れた。
溶岩湖の先には獄炎を纏う草でできた草原がありこれも炎耐性を持つ彼女らの障害と成り得なかった。
「『生物感知』に大きな魔物が引っかかりました。恐らく獄炎竜でしょう」
「うーん、どうやって連絡を、、、、
『見つかったか?』
「「うひゃぁ!!」」
『??どうした?』
『どうしたじゃないわよ!なんで思念話の圏外なのに思念話ができるわけ?』
『魔法効果増大を使ってな。それで?見つかったか?』
『獄炎竜は見つけました。今どこに?』
「後ろだ」
「「きゃぁぁぁぁ!!!!」」
「あ、お前らうるせぇ!っち、気付かれた」
「え?」
突如三人の周りが暗くなり熱風が吹いた。
業火で作られた鱗と溶岩で作られた牙、獄炎竜である。
獄炎竜は生態系の頂点たる竜種の中でも上位の種族であり羽ばたくたびに超高温が周りを焦がしその吐息は万物を溶かす。
「あっつ!!」
「少しダメージが、、、」
「お前ら下がってろ。今のLvじゃ勝ち目はない」
「ガァァァァァ!!!!!!」
獄炎竜の巨大な『溶岩弾』が複数展開される。
「っ!?第一位階魔法:『全氷結』!」
「第一位階魔法:『黒曜の守り』」
ネアが『溶岩弾』を凍らせるが一瞬で蒸発され、黒曜石の壁はいとも簡単に貫かれた。
だが次の瞬間、五段弓術『複数連射』に上位魔法:『冷却』が付与された矢が『溶岩弾』に突き刺さり火山岩と変わり、再度放たれた五段弓術『複数連射』に今度は高位魔法『衝撃』が付与された矢に当たり粉々に砕けた。
「高温の溶岩に氷を近づけても溶けるだけだ。溶岩自体を冷やせば溶岩は急速に冷やされ火山岩へと変わる。岩になった以上ただの岩だ。砕いてやれば何の問題もない」
『人間よ。そのような力を一体、、、、いや、貴様等は悪魔か』
「お、喋るんだな。正解だ。俺たちは悪魔だ。二人ともさっさと逃げろ」
「わ、わかったわ」
「ご武運を」
『それで?貴様等は何をしに来た。我が領地を荒らす愚か者め』
「簡単なことだ。お前の種族からドロップする『獄炎の竜核』が欲しいんだよ」
『なんだと!?悪魔風情が我を倒すというのか!それにそのアイテムはあまりにも危険!かの悪魔を復活させる気ではないだろうな!!』
「さぁ?どうだろうな?」
『第三位階魔法:『溶岩の大波』!!』
獄炎竜の口内の魔力が急上昇する。
溶岩の波が獄炎竜の口から溢れデミルに襲い掛かった。
「第三位階魔法:『世界的』」
が、溶岩は衝撃波にはじき返され周囲を溶かしフィールドを作った。
「第一位階魔法:『不通の結界』」
『む!?第三位階魔法:『収束熱線』」
「第三位階魔法:『空間湾曲』」
周囲の熱を集め作られた地表すら溶かす熱線は湾曲した空間により反対方向に跳ね返る。
『な!?』
位階魔法を詠唱する間も無く跳ね返った自身の熱線を浴び獄炎竜のHPが削れる。
『きさまぁぁぁ!!!』
灼熱のブレスがデミルを襲う。
「悪魔の体装:『金剛の皮膚』」
獄炎竜のブレスはいとも簡単に無効化されていった。
獄炎竜が上空へ羽ばたく。
『ブレスを防いだのは褒めてやろう。だが!我が魔法にて炭となるが良い!これが我ら竜族の操る最高位の魔法!第四位階三連貫通型魔法:『全溶の死炎』!!!』
デミルの顔に初めて驚愕が浮かぶ。
AD.worldに『全溶の死炎』は第四位階の魔法に存在する。
だが存在するのは第四位階魔法:『全溶の死炎』である。
『彼』は第四位階三連貫通型魔法というものを知らない。
『彼』は恐怖する。
それと同時に笑っていた。
そう、『彼』は楽しんでいたのだ。
「第五位階魔法:『魔力吸収』」
魔力すら溶かし全てを焼き殺す三回連続で放たれた白い焔は、謎の光によって吸収される。
『なぜだ!!なぜ最高位の魔法が消えるのだ!!』
「第四位階の魔法は最高位じゃない。まあ、三連貫通型魔法というのには興味を惹かれた。お礼として全力で仕留めよう。悪魔の体装:『鋭利な翼』、第二位階魔法:『上位転移』」
獄炎竜の前からデミルの姿が消える。
『転移か!』
獄炎竜の遥か上空で急激に魔力が高まる。
『な、なんだこの力は!?』
これから来るであろう異常な攻撃を阻止するべく獄炎竜は上昇する。
獄炎竜から見てもデミルのいる場所は遠く時間がかかりそうだった。
「第四位階魔法:『時間遅延』」
デミル以外の全てが遅くなる。
だが遅くなっている本人たちは自身の、周りの速度が遅くなっているとわからない。
この魔法は言ってしまえば使用者の時間を加速させる魔法だ。
効果が切れないうちに弓を構え、矢に焔に対する最強の魔法を重ねる
「第五位階魔法:『時空氷塊』、第二位階魔法:『氷結遅延』、第三位階魔法:『幻夢』、第五位階魔法:『全貫通の攻撃』、第五位階魔法:『全破壊確率超上昇』、第四位階魔法:『道具獲得確率超上昇』」
最超位段弓術:『神速矢』を用意し最大限まで引き絞る。
『魔弓師之頂』の効果で軌道補正・精密狙撃・魔法威力増大がつき、準備が完了する。
それと同時に『時間遅延』の効果がきれ全力で飛んでくる獄炎竜。
公式攻略本、インターネットにすら載っていない対炎系最強の魔法弓術。
その名は、
「『死氷神の目覚め』」
美しく、残忍に、冷たく光り輝くその異常な速度の矢はまるで“氷色”の流れ星のように遠くから見たネアとノアには写り、発射された途端に冷気が周りを包みデームの迷宮第四十一階層全ての炎を凍らし獄炎竜に向かっていった。
圧倒的な力に獄炎竜は思わず別方向へ逃げ出してしまう。
だが、軌道補正が働き獄炎竜を追いかけていく。
速度の差は歴然であり獄炎竜は追いつかれた。
そこで『死氷神の目覚め』が消える。
まるで幻であったかのように。
『な!?幻、、、、、、、
幻だったのか。
そう言おうとした獄炎竜の尻尾から突如氷塊が現れた。
その氷塊はだんだんと尻尾から脚、腕から胸へと生えていき最後には破裂し獄炎竜を肉塊へと変えた。
『Lvが38に到達しました』
『Lvが39に到達しました』
『Lvが40に到達しました。新たなジョブが与えられます、『農民』の職変更が行えます』
『Lvが41に到達しました』
『Lvが42に到達しました』
・
・
・
『Lvが46に到達しました』
おっと、Lvが上がったようだ。
まあ後で確認するか。
もともと第五位階魔法:『時空氷塊』は対象に当たった瞬間、氷塊を出現させ対象を永久に封じ込める魔法である。
だが第五位階魔法:『全貫通の攻撃』により貫通力を上げ第三位階魔法:『幻夢』で一時的に実態をなくし、『時空氷塊』を体内に潜り込ませる。
第二位階魔法:『氷結遅延』での遅延が終わったら『時空氷塊』対象を封じるべく氷塊が現れ始める。
つまり内部から氷塊が体外へ成長するためどんなに多いHPを持っていても全急所を突かれるため確実に死ぬ技であり、魔法無効化能力を持たない限り絶対的に死ぬ技、それが『死氷神の目覚め』である。
欠点もあり矢を弾かれた場合、触れたら死ぬ即死系の魔法と違い跳ね返ってしまうため盾職の中で貫通無効化を持っている相手には決定打とならない技でもある。
肉塊の中に幾つかの煌めくアイテムが発現する。
中でも一番光り輝いていたのが『獄炎の竜核』である。
そのアイテムは深紅のルビーの中にさらに紅い宝玉が入っておりルビーの周りは揺らめく幻のような金でできた竜の鉤爪の宝飾で囲まれていて、まるで古代から残る財宝のようにも感じられた。
他にも、魔力を視覚し動体視力が上昇する竜眼の指輪や炎熱に対する無効化能力を与える獄炎の首飾り、そして炎熱を多少だが魔力へと変換する吸熱の外套などがドロップした。
AD.worldの世界では有り触れた品だ。
鋭利な翼をそのまま利用しデミルは『獄炎の竜核』の回収に向かった。
全て回収し終えた後にデミルはネアとノアに連絡を取るべく『思念話』を上位魔法:『魔法効果増大』を使って発動する。
『ねぇ!なにあれ!!なんなのあれ!!』
『うるさい!叫ぶな!頭が痛くなる。ただの魔法だ』
『迷宮全体を凍らせる魔法がただの魔法なわけありません。とりあえずそちらに戻ってもいいですか?』
『いいが場所わかるか?』
『巨大な氷塊が見えるので』
『なるほどな。目的のもの以外にアイテムが少し手に入ったからお前らにあげるぞ』
『取り敢えずそちらに向かいますね』
思念話が切れ遠くの方に二つの小さい点が現れる。
数分すると二人は氷塊の大きさと獄炎竜の肉塊に絶句し、飛行の魔法を切って降りてきた。
「酷い有様ね。どういう状況か説明してちょうだい」
「なんか面白い魔法を見せてもらったからお礼に本気で相手してあげた」
「絶対的にオーバーキルですね。魔力の無駄ですよ?」
「しょうがないだろ?確か、、第四位階三連貫通型魔法なんていうものを見せてもらえたんだからな」
「は?なんでそんなありふれたものに驚いているわけ?」
「え?いやいや、見たことないし、、、」
「あのね、普通ドラゴンは私達悪魔や人間と違って繊細に魔力が扱えないの。何回も使用して慣れた魔法なら別だけど、ドラゴンが使える最高位の、それも貫通を付与した魔法を三回連続で使用するのにはそうやって長く詠唱するしかないのよ」
「なんだよ。つまんねえの」
「いろいろ魔法知っているのにどうしてそういうことを知らないんですか?」
「秘密。それと、そうだな。ネアには獄炎の首飾りを、ノアには竜眼の指輪だな」
首飾りと指輪を二人に渡すとそれを見た瞬間表情が青ざめた。
「ちょっと!!なんでこんなすごいものくれるのよ!!」
「なんか逆に使い辛いです」
「は?何がすごいんだよ。獄炎竜を倒したら普通に手に入るぞ?」
「はぁ〜。あんたね。普通は獄炎竜なんて伝説級のドラゴン倒せないの」
何を言っているんだこいつらは。
ドラゴンで伝説級って言ったら一年に一回一時間だけイベント出現する闇之龍帝か光之竜王、もしくは死之竜くらいなもんだろう。
それを中位ダンジョンの上層領域ボスとして一体は必ずいる獄炎竜を伝説級?
意味がわからない。
「ま、いっか。目的のものは手に入ったし。それにボス部屋見つけといたからさっさと第四十二階層にいくぞ」
「いないと思ったらボス部屋探してたんですね」
「ていうかさっきのボスじゃないの?」
「あれは裏ボスみたいなもんだ。さっさと行くぞ。あ、ステ確認するの忘れてた」
「じゃあさっさと確認しなさいよ。て、いうかそもそもLvが上がった時以外確認なんてできるの」
「え〜と、なんだっけ締め切り?だっけ?」
_____________________
名前:
種族名:悪魔の大王デビルキング
Lv46
HP:2300000
攻撃力:8960000
防御力:138000
速度:920000
魔力量:32200000
職ジョブ:『真之魔導師』
使用可能魔法・全下級魔法
全中級魔法
全上級魔法
・全下位魔法
全中位魔法
全上位魔法
全高位魔法
全超位魔法
・全第一位階魔法
全第二位階魔法
全第三位階魔法
全第四位階魔法
全第五位階魔法
:『魔弓師之頂』
使用可能技・一段弓術
二段弓術
三段弓術
四段弓術
五段弓術
六段弓術
七段弓術
八段弓術
九段弓術
高段弓術
超段弓術
最超位段弓術
・魔法効果付与
軌道補正
精密狙撃
魔弓召喚
魔法威力増大
:『農民』・・《職変更可能》
使用可能技・農作物栽培
:『騎士団長』
使用可能技・一段剣術
二段剣術
三段剣術
四段剣術
五段剣術
六段剣術
・身体強化
武器強化
種族能力:『悪魔の体装』・・・鋭利な翼、威圧の眼光、金剛の皮膚
『悪魔の心装』・・・恐怖の覇気、殺戮の意思
固有能力:『全能之魔眼』・・・炎眼、氷眼、石眼、創造眼、破壊眼
『邪悪執行』・・・弱者暴食、精神狂乱、暴虐化
『正義虐殺』・・・天使殺傷、聖属性耐性、美徳無効
通常能力:身体能力超向上・魔法超耐性・神聖魔法耐性・物理超耐性・異常状態超耐性・全言語理解
______________________
微妙だな。
いや、かなり雑魚だ。
これなら職変更したほうがいいな。
「『農民』をジョブチェンジ」
《職:『農民』がジョブチェンジされました》
・
・
・
《職:『屍術師』に変更されました》
再度ステータスを確認する。
「締め切り」
毎回思うのだがなんで締め切りなのかがわからない。
そんなことは置いておいてとりあえず確認しよう。
_____________________
名前:
種族名:悪魔の大王デビルキング
Lv46
HP:2300000
攻撃力:8960000
防御力:138000
速度:920000
魔力量:32200000
職ジョブ:『真之魔導師』
使用可能魔法・全下級魔法
全中級魔法
全上級魔法
・全下位魔法
全中位魔法
全上位魔法
全高位魔法
全超位魔法
・全第一位階魔法
全第二位階魔法
全第三位階魔法
全第四位階魔法
全第五位階魔法
:『魔弓師之頂』
使用可能技・一段弓術
二段弓術
三段弓術
四段弓術
五段弓術
六段弓術
七段弓術
八段弓術
九段弓術
高段弓術
超段弓術
最超位段弓術
・魔法効果付与
軌道補正
精密狙撃
魔弓召喚
魔法威力増大
:『死霊術之師』
使用可能技・下級不死系魔物作成
中級不死系魔物作成
上級不死系魔物作成
下位不死系魔物作成
中位不死系魔物作成
上位不死系魔物作成
・不死系魔物支配
負力耐性
:『騎士団長』
使用可能技・一段剣術
二段剣術
三段剣術
四段剣術
五段剣術
六段剣術
・身体強化
武器強化
種族能力:『悪魔の体装』・・・鋭利な翼、威圧の眼光、金剛の皮膚
『悪魔の心装』・・・恐怖の覇気、殺戮の意思
固有能力:『全能之魔眼』・・・炎眼、氷眼、石眼、創造眼、破壊眼
『邪悪執行』・・・弱者暴食、精神狂乱、暴虐化
『正義虐殺』・・・天使殺傷、聖属性耐性、美徳無効
通常能力:身体能力超向上・魔法超耐性・神聖魔法耐性・物理超耐性・異常状態超耐性・全言語理解
______________________
一気に強化されたな。
この不死系魔物作成は魔法によるものではないため魔力を使用しない。
ただHPをわずかに使用するためちょっと面倒くさいが上位不死系魔物作成などは偵察や掃討戦などで使えるだろう。
「どうだったの?」
「結構よかった。さて、行きますか」
「そうですね」
その後、ボス部屋にいた悪魔二体を瞬殺し第四十二階層に入っていった。