幼少の頃
私は、四人兄弟の末娘として生まれた。兄弟構成としては兄が二人、姉が一人、そして私である。
思い出として覚えているのは、父は相当厳しかったこと、父と母は良く喧嘩し、兄弟は私をからかって遊んでいたということぐらいである。
不思議なもので、何があったのかは覚えていなくてもその頃の心理状態は良く覚えている。
厳しい父が大黒柱であった我が家は、封建的で男尊女卑を絵に描いたような家庭であった。男尊女卑というと、世の中の女性は良い気がしないだろう。しかし、ご年配の方からすると良いことなのだそうだ。
子ども心に、女で生まれてきたが為に兄より愛されていないと感じていた。それが如実に現れていた家庭で育つことの何が良いのか、社会に出て十年以上は経つが、今だに理解はできていない。
女は女らしく生きろと言われても、そんな要素が具わらなかった自分はどうすれば良いのか。きっと前世で私は男だったのだと、自分で自分に言い訳していた。
父のご機嫌取りなのか、母に好かれたい一心なのか、私はことさらに真面目な良い子であり続けた。
真面目であっても無くても、兄は両親にとても可愛いがられていた。そして自分は、努力しても他人から好かれることは無いのではないかという疑念を抱くようになった。中学生になると真面目な良い子であり続けることがバカらしくなり、急速になまけ者へと化していった。